毎年恒例の、「府中の森芸術劇場 年忘れ寄席」に 行って参りました。 場所は府中の森芸術劇場ふるさとホール、 大ホールと比べるとこじんまりとしてとても温かなホールです。
この日のお目当てはもちろんトリの柳家小三治師匠。 前座さんの噺も大変面白く聴かせていただきましたが、 やっぱり「待ってました!」となれば小三治師匠です。
年の瀬の落語と言えば「芝浜」ですが、だからと言って 易々と芝浜を演じてくれるような小三治師匠ではござんせん。
この日の演目は、「うどん屋」でした。 何をやってもツイていないうどん屋さんのお話ですが、 木枯らし吹く寒い季節にピッタリの演目です。
落語の醍醐味と言えばもちろんその研鑽された話術ですが、 「しぐさ」を楽しむというのも大きな魅力のひとつです。
高座に上がる時に持ち込んでいいのは扇子と手ぬぐいだけ、 これだけを武器に噺家さん方は表情やしぐさで沢山のキャラクター を演じるのです。
演目「うどん屋」には凍える道っ端でうどんをすする場面が 出て来ます。 噺家さんのしぐさと音だけで 「・・・体は寒いけど、あぁ、熱っいうどんだな」 と伝わってきます。 蕎麦ではないんです。やっぱりあの音はうどんなんです。
お箸に見立てた扇子でうどんをすする、 食べ終わる頃にはすっかり体が温まり額に浮かんだ 汗を手ぬぐいで拭う、
見ているお客さんが帰りにうどんを食べて帰るようなら、、 噺家さんの勝ち、といったところでしょうか。
冬の落語をすっかり堪能した一夜でした。 m,nami