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「木製の横格子や砂色の左官壁など、職人魂が燃えるS様邸の意匠の数々」と「またまたスゴイ数値が出たパッシブハウスの気密測定」の巻/2024年9月号

Date:2024年10月3日 |

木製の横格子、薩摩中霧島壁で塗った味わい深い左官壁、上手製作所の真鍮金具など、今回はS様邸の意匠デザイン面の見どころ(特徴)をいくつか紹介していきます。また練馬区で新しい家づくりが始まりました。小野寺工務店流の北欧デザインの家です。

目次
1.三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定))
2.調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
3.調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)
4.練馬区・Y様邸(北欧テイストの2階建ての家)

 

◎三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定)

あらためて言うのも少しヘンですが、S様邸の住宅性能は、パッシブハウス認定を予定していることもあり、かなりスゴイのですが、じつはS様邸は住宅の意匠面でも、一般的な住宅ではあまり見掛けない仕上げや素材をたくさん使っていて、なかなかにスゴイのです。
今回はそれらのスゴイ、すなわち作り手としてかなりやりがいのある、S様邸の意匠的な見どころから紹介していきたいと思います。

[造作の木製横格子]
S様邸の外観デザインで、もっとも特徴的で印象的な造作が建物南面にずらりと並ぶ木製横格子です。下の写真は、できあがった木製横格子を2階の窓の外側にはめ込んでいるところです。

横格子の裏側に貼ってあるのは障子紙。ではもちろんなく、YKKのアウターシェード(洋風すだれ)用の布地を障子紙風に加工したものです。この木製横格子はデザイン的なポイントであると同時に、パッシブハウスの日射遮蔽の要件を満たす重要な仕様でもあります。


 

こちらは1階の木製横格子です。2階のものより縦長サイズです。黄色矢印の板は、木製横格子を収納する戸袋の鏡板(かがみいた)。このあと、横格子や軒天と同じ色に塗装します。


 

塗装完了後の写真。横格子も軒天も鏡板もすべて無垢材で造作しています。


 

木製横格子および木製鏡板がすっきり収まった状態のS様邸。これから玄関アプローチなどの外構を作っていきます。


 

[造作収納のダボ穴]
下の写真はご主人の書斎机の背面に造作した本棚。ごくごく普通の本棚ですが、じつはこれ、相当な手間の掛かっている本棚なのです。


 

手間の理由は、可動棚を支えるダボ穴(下の写真の黄色矢印)です。市販の収納棚にもよくあるダボ穴ですが、造作で作るとなると、とても大変なのです。
穴が少しでもズレると棚が傾くので、ひとつひとつ正確に穴を開けて、そのなかにダボ受け金具をねじ込んでいく必要があります。市販の収納棚は、工場でコンピューター制御された機械が規則正しくスポスポ穴を開けていくのですが、造作家具の場合は大工がひとつひとつ手作業でダボ穴を作っていきます。
扉のない収納の可動棚はすべてダボ穴タイプにしたい、というご要望をいただいたので、全部で何百というダボ穴をあけました。目を閉じると瞼の裏にダボ穴が見えるくらい、それはそれは大変な作業でした。


 

下の写真は玄関のシューズクローク。シューズクロークには扉が付くので、ダボ穴ではなく一般的なステンレスの棚柱(黄色矢印)を付けています。ダボ穴式に比べて、100倍楽です。徒歩と新幹線ぐらい違うかもしれません。


 

[薩摩中霧島壁の左官工事]
S様邸の内壁の大部分は、九州産のシラス(火山灰)を主成分にした薩摩中霧島壁という天然素材の塗り壁材を使います。下の写真の中央、小上がりの和室の床に積まれているのが、これから塗る薩摩中霧島壁です。


 

内部足場を組んで、吹き抜けに面した壁から塗っていきます。


 

塗り終えました。木ゴテを使って5ミリの厚さに塗っています。薩摩中霧島壁にはいろんな色があるのですが、S様は黄土色のような、砂色のような色を選ばれました。なかなか雰囲気がありますね。


 

無垢材で作った手すりやドア枠との相性もばっちり。


 

薩摩中霧島壁は、粗めの骨材がもとから入っているので、木ゴテで普通に塗るだけで、自然とザラっとした質感の壁に仕上がります。光が当たると、繊細な陰影が生まれて、なんとも味わい深い印象になります。


 

[上手製作所の真鍮金具]
S様邸のハンガーバーなどの金具類は、上手製作所の真鍮金具を使用しています。下の写真は、キッチンの背面カウンターに取り付けた落下防止用のバー。


 

こちらはクローゼットの中に取り付けたハンガーバー。バーを支える金具もすごくオシャレで、下からのぞき込まないと見えないのが残念です。


 

[ピアノルームの床]
ビアノルームの床は、ピアノを置く場所の下だけ無垢の杉板張りで、それ以外はカーペットを敷きます。ピアノを移動させながらの工事になるので、まずはピアノを置く杉板張りの部分だけ、先に仕上げていきます。


 

杉板の上に透明の保護塗料(オスモカラー)を塗り、電気工事の職人さんや現場監督がうっかりその上を歩いたりしないように、しっかり注意喚起。左側に少し写っている箱の中にピアノが収納されています。上棟日に搬入されてから、ずっとこの箱の中で身を潜めていたピアノ。解放の時は、もうまもなくです。


 

保護塗料がしっかり乾いたのでピアノを設置します。手前のスーツ姿の男性はピアノ屋さん。彼の指示に従って、ピアノを設置しました。


 

[2回目の気密測定]
最後に2回目の気密測定についてレポートしておきます。S様邸はパッシブハウス認定を取得する関係で、ほぼ完成に近いこのタイミングで2度目の気密測定を行う必要があります。

1度目は6月のブログでご報告したとおりC値=0.0c㎡/㎡という驚愕の数値を叩き出したS様邸。2回目ははたしてどうなるでしょうか?
ちなみに完成間近のタイミングでの気密測定は、エアコンや設備配管、24時間換気システム、キッチン換気扇などの空気穴を開けた後の測定になるため、どんな家でもC値の値は低めに出ます。さてS様邸の結果ですが、C値は、0.1c㎡/㎡でした。さすがパッシブハウスです。


 

 

◎調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)

調布市K様邸では付加断熱(外断熱)の施工が始まりました。

付加断熱用の断熱材として、いつもはEPSボードを使うのですが、K様邸の場合は、最終的に外壁全体を板張りにする関係で、50ミリ厚のミラフォーム(押出法ポリスチレンフォーム)を使用しています。


 

話は変わりますが、下の写真の大きなスチール製のフレームは、いったいなんだと思われますか?玄関に置く大きな姿見鏡のフレームのようにも見えますが、じつはコレ、K様邸の玄関のドア枠です。

玄関のドア枠はできるだけ目立たないようにするのが最近の住宅デザインの圧倒的主流だと思うのですが、K様邸の場合は、ドア枠をあえてドーンと見せる方向でいきます。そのためにわざわざ、ドア枠とドアを特注で作っています。

どんな仕上がりになるか、なかなかイメージできないと思います。また言葉で説明するのも非常に難しいです。来月号ではできあがりの写真をお見せできると思いますので、申し訳ないのですが1カ月ほどお待ちください。


 

 

◎調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)

調布飛行場内での大型車庫づくり、建物はほぼ完成し、残るは外回りの工事のみとなりました。

下の写真の左側に写っているのが完成した大型車庫です。飛行機に給油を行うタンクローリー格納用です。建物の右側に2本立っているのは、防災スピーカー用の支柱です。手前がこれから撤去する古いもので、奥側が新しいものになります。


 

当初の計画では古いものを移設して、再利用する予定だったのですが、根元を掘り起こしていくと、過剰なぐらい頑丈にコンクリートで固められていて、取り出して移設することは、ほぼ不可能なことが判明したのです。

下の写真は、移設しようとして、根元のコンクリートを砕いたところ。このあと、地面の下にタテヨコ高さ1.5メートルほどの立方体のコンクリートが埋まっていて、そのコンクリートの塊が支柱をガッチリ固定していることが判明し、再利用を断念。根元を切断することにしたのです。


 

古い支柱がなくなり、新しい支柱にスピーカーが取り付けられました。これから車庫の正面に土間コンクリート打っていきます。


 

土間コン打ち完了!金網も撤去し、車庫と滑走路&誘導路がつながりました。いつでも燃料補給に出動できます。


 

「ISHINO OIL」の看板を付けたら、工事完了です(完成後の写真は次回掲載します。ギリギリ間に合いませんでした)。


 

 

◎練馬区・Y様邸(北欧テイストの2階建ての家

練馬区で新しい家づくりが始まりました。北欧風の外観デザインの家ですが、輸入住宅っぽくはなく、北欧風を小野寺工務店流にアレンジした、シン・北欧風住宅になる予定です。どんな風に仕上がるか、自分たちも楽しみです。

下の写真は地鎮祭の準備の様子です。


 

続いて、地鎮祭のひとコマ。当社社長が鋤(すき)入れをしているところです。鋤入れ、鍬(くわ)入れ、四方払いといった儀式を行い、土地の神様に建築の許しを得ます。


 

基礎工事が始まり、捨てコンクリートの打設と型枠の設置まで完了しました。この後、基礎下断熱の工事を行います(写真に写っている白い板が基礎下断熱用の断熱材です)。

ちなみに基礎下断熱というのは、建物の基礎の下側と外側に断熱材を入れて、基礎ごとすっぽり断熱する施工方法のことです。一般的な床下断熱の家と比べて、1)断熱性能が高く、2)床からの冷えがなく、3)床下エアコンを使うことで家中がじんわり温まり、4)ヒートショックの危険が大幅に低くなる、という利点があり、小野寺工務店では標準仕様を通り越して、「基礎下断熱でない家は建てませんよ」くらいのいきおいでオススメしています。


 

基礎下断熱の説明をすると、たまに「捨てコンを打った状態の地面は凸凹しているはず。凸凹の地面の上に、どのようにして平らな断熱材を敷き詰めているのですか?」という質問をいただくことがあります。
答えは下の写真にあります。捨てコンの上に砂を入れて、均(なら)してから断熱材を敷き詰めるのです。


 

 

(続く)

 

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