「気密測定で出た驚愕の数値。パッシブハウスの家づくり」と「私たちソファも作ります」と「K様ご夫妻による野地板選び」の巻/2024年6月号
三鷹市S様邸で行った気密測定でC値ゼロ、すなわち隙間がまったくないという測定結果が出てしまいました。いくらなんでも潜水艦じゃないんだから・・と思った方、ぜひ本編をご覧ください!
目次
1.国分寺市・S様邸(やさしい日差しが入る北側採光の家)
2.三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定))
3.調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
4.調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)
◎国分寺市・S様邸(やさしい日差しが入る北側採光の家)
完成直前のS様邸では、家の内外で仕上げの工事が進んでいます。
下の写真はリビングの化粧梁の上を撮ったものです。半円形の積み木のようなものが2つありますが、これはいったい何かわかりますでしょうか。
答えは間接照明の台座です。照明器具の真下から配線が出ていて、そのままでは梁に固定できないので、照明器具のカタチにあわせて台座を手作りしたのです。
家づくりの早いタイミングで照明の設置場所が決まっている場合は、化粧梁の上に溝を掘って、その中に配線を通したりするのですが、S様からは、「家がすべて完成してから、実際にライトをつけてみて、そのあとで最終的な設置場所を決めたい!」というリクエストがあり、それで間接照明後付け用の手作り円形台座の登場となったわけです。
家の外では外構工事が進んでいます。下の写真は先月のブログにも書いた、角のない玄関土間。角を丸くするだけでなんだかかわいらしくなるから不思議です。
汚れないようにしっかり養生しておきます。
鎖樋(くさりとい)の施工の様子。お椀(三角錐)の中から溢れた雨水が順々に下の方に伝っていく日本の伝統的な雨樋です。雨の多い土地に暮らす日本人が、どうせなら雨を楽しもうと創意工夫をして作り出したデザインのような気がします。広い境内のあるお寺などでは雨水をそのまま地面に流すことが多いですが、一般住宅では地面の下に排水管を通しておいて、そこから下水道に流すようにします。
隣家との境界にあるブロック塀。あまり見栄えが良くないので、衣装替えをしていきます。
ブロック塀の上から木製フェンスを設置しました。味気なかったブロック塀がステキに変身しました。
S様邸については次号で完成写真を紹介する予定です(先日撮影してきました)。乞うご期待ください!
◎三鷹市・S様邸(三鷹パッシブハウス(予定)
先月末に気密測定を行いました(小野寺工務店ではすべての住宅で気密測定を行っています)。下の写真の黄色い服を着た男性は、気密測定専門会社のスタッフさんです。
測定の様子をそばで見ていると、「ちょっとこの数値みてください。すごいですよ」と、測定結果を印字した小さな紙片を手渡してくれました。
これがその測定結果です。なんとC値(相当隙間面積)が0.0c㎡/㎡です!潜水艦じゃないんだし、いくらなんでも0.0はおかしいというと、測定機械の仕様で、0.05c㎡/㎡以下は測定不能になり、0.0という結果が表示されるそうです。何度測っても同じ結果が出るので、S様邸のC値が0.05c㎡/㎡以下であることは間違いないという話でした。
ここでC値(相当隙間面積)についてカンタンに説明しておくと、C値とは家全体にどれぐらいのすき間があるかを表す数値で、次の数式で計算されます。
C値(c㎡/㎡)=家全体の隙間面積(c㎡)÷建物の延床面積(㎡)
C値が小さいほど、隙間が少ない、すなわち気密性能の高い住宅ということになります。高性能住宅かどうかを判断するひとつの目安として次世代省エネ基準というのがあり、この次世代省エネ基準が求めるC値は5.0c㎡/㎡です。これは延床面積100㎡の家にハガキ3枚分程度の隙間がある計算になります。小野寺工務店の家は次世代省エネ基準の10倍の気密性能、C値0.5c㎡/㎡以下を必達目標にしていて、この数値は延床面積100㎡の家でハガキ1/3枚程度の隙間があるという計算になります。
S様邸の0.05c㎡/㎡以下という数値は、延床面積100㎡の家で切手1枚分以下の隙間しかないということになり、これはもう高気密住宅や超高気密住宅を超えた、ウルトラ高気密住宅といってしまってもいいように思います。
気密測定のスタッフさんもめったに見れない数値に興奮して、測定結果が表示されているモニター画面をスマホのカメラで撮っていました(笑)。
さてさて、S様邸の工事レポートはもう少しだけ続きます。まずは気密測定後に行った充填断熱工事の様子から。
写真の赤い機械はセルロースファイバーを吹き付けるための専用マシンで、この中にセルロースファイバーをほぐして入れるとホースの先から繊維状になったセルロースファイバーが勢いよく吹き出す仕掛けになっています。
壁の中にセルロースファイバーを吹き付ける職人さん。吹き付けたセルロースファイバーがなぜパラパラ落ちてこないかというと、セルロースファイバーの中にあらかじめ微量の糊成分が混ぜてあり、霧状の水といっしょに吹き付けることで、固着させているからです(ウォールスプレー方式といいます)。
壁からはみ出すぐらいに、たっぷりと吹き付けていきます。はみ出たセルロースファイバーは固まってからそぎ落とします。
断熱工事が終わりました。セルロースファイバーは吸音性能も高いので、断熱工事が終わると現場が少し静かになります。
いろいろな大工工事と造作工事も進んでいます。下の写真は南面のスマートウィン(窓サッシ)を覆うように設置する木製横格子(の作りかけ)。最近の住宅で木製横格子を採用するケースはほとんどないので、どんなものを作っているのか、なかなかイメージしづらいと思います。すごくステキな意匠なので、完成を楽しみにしていてください。
こちらは造作ソファのひじ掛け部分です。S様のご要望によりティッシュボックス内蔵型のひじ掛けになる予定です(矢印のスペースにティッシュボックスが収納されます)。
◎調布市・K様邸(スキップフロアと大きな土間のある家)
基礎工事がガンガン進んでいます。下の写真は高基礎用の型枠を組む職人さんたち。コンクリートの重さで型枠がたわまないように鉄パイプを組んで型枠の補強をしているところです。
基礎工事が着々と進む中、K様ご夫妻が野地板をセレクトするために当社の取引する材木屋さんにやってきました。(いつも大変お世話になっている材木屋さんです。協力体制バッチリですねとK様よりお褒めの言葉をいただきました。)
野地板というのは、屋根の下地材です(下の写真参照)。家ができあがっていく過程で屋根材(ガルバリウム鋼板や瓦)と天井の断熱材に挟まれて見えなくなってしまうため、「野地板を選ぶ」という作業を行うことは通常はないのですが、K様邸は「野地板あらわし」とでもいうのでしょうか、勾配天井を見上げると野地板がそのまま見える意匠を採用しているため、すこしでも見栄えの良い野地板を選ぼう、ということで材木屋さんまで来られたのです。
これが野地板です。本来見せるものではないので、節だらけで、お世辞にもきれいな見た目とは言えません。
そしてこちらがK様ご夫妻が選び出した野地板たちです。なかなか大変な作業でしたが、なんとか必要な数だけ、見た目の良い野地板を確保することができました。
◎調布市・石野礦油様(航空機給油車用大型車庫)
調布飛行場内での大型車庫づくり。既存のコンクリート舗装を剥がす作業が終わり、基礎工事が始まりました。
まずは根切り。根切りとは、基礎をつくるために地面を掘り下げる工程のことです。根切りではなく根伐りと書いたり、床掘りと言ったりもします。
根切りした地面に防湿シートを敷き、その上から捨てコンクリートを打ちました。
続いて型枠工事が始まりました。
下の写真の男性は鉄骨屋さん。鉄骨を組む専門の職人さんです。アンカーという鉄の柱を基礎に固定するための装置を設置しているところです。
こちらがアンカー。水平、垂直の位置合わせがシビアなので、慎重に作業を進めていきます。
(続く)