「パッシブハウスT様邸の完成写真大公開!」と「難易度マックス!K様邸の上棟レポート」の巻/2023年9月号
今回の月刊小野寺工務店は、西東京市T様邸(パッシブハウスです!)の完成写真をメインにお届けします。また、殺人的な暑さの中で決行したK様邸の上棟レポートもお届けします。
目次
1.西東京市・T様邸(パッシブハウス認定を目指す家)
2.調布市・I様邸(本棚いっぱいリビングの家)
3.調布市・K様邸(ビルトインガレージの家)
4.調布市・M様邸(L字型の土間リビングのある家)
◎西東京市・T様邸(パッシブハウス認定を目指す家)
では早速、T様邸の完成写真の紹介を始めたいと思います。ちなみにT様邸はすぐ上の小見出しにもあるようにパッシブハウス認定を目指す家です。目指すと書いたのは、パッシブハウスを建てる場合、建築前(建築図面)と建築後に認定機関(パッシブハウス・ジャパン)による厳しいチェックが行われ、それらをクリアしてようやくパッシブハウスとして認定されるからです(設計段階から認定機関と二人三脚で進めるので、できあがってからダメ!となることはほとんどありません)。
パッシブハウスがどんな家なのか?については、T様邸の第一回目の工事レポートを書いた2023年2月号で詳しく説明しているのですが、ここでも簡単に説明しておくと、ドイツのパッシブハウス研究所が提唱する超省エネ仕様の住宅のことで、断熱性能と気密性能がきわめて高く、かつ太陽の日射エネルギーを冬は最大限に活用し、夏はしっかり遮断することで、冷暖房器具をほとんど使わないでも一年中快適な暮らしができる家のことです。
すいません、前置きが長くなってしまいました。完成写真の紹介を進めます。
まずはT様邸の外観です。2階の窓まわりが少し水色がかって見えるのは、1階の庇に使用しているウグイス色のガルバリウム鋼板の色が反射しているからです。
建物の南側に設置したパーゴラ付きのウッドデッキ。ウッドデッキに面した大型の窓は「スマートウィン(佐藤の窓)」という超高断熱仕様の国産木製サッシです。
東側から見たT様邸。熱損失を極限まで減らし、かつ太陽の日射の影響をなくすため、東西にほとんど窓を付けないのがパッシブハウスの特徴です。(パッシブハウスは人の体温だけで室温が上がるような超高気密・超高断熱住宅なので、庇のない壁面に窓を付けてしまうと、太陽の熱で室温が異常に上がってしまうのです)
北側に設けた玄関エントランス。外壁材のガルバリウム鋼板は一文字葺きという、普通の横葺きより少し手間のかかる手法で仕上げています。
玄関ホール。玄関ドアも超高断熱仕様の国産木製ドアです。
吹き抜けのある1階LDK。左側の黒板の下に床下エアコンがあり、T様邸は冬の間、この床下エアコンと南面の大きな窓から射し込んでくる日差しだけで、家全体を暖める計画です。
角度を変えて撮影したLDK。床はヒノキの無垢材。壁には珪藻土を使用しています(天井にはエコフリースを貼っています)。
小上がりの畳スペースから見たLDK。
窓を開ければLDKからすぐにウッドデッキに出ることができます。
南面の正方形の窓から明るい日差しが入るキッチンスペース。
吹き抜けに面した2階ホール。手前は造作スタディカウンター。窓際の通路は主寝室と子供部屋を結ぶ回廊。
オープンな形状のウォークインクローゼットのある主寝室。右側の収納棚の下段にはズボン掛けのパイプを入れています。
子供部屋。左側の回廊を通して主寝室とつながっています。
2階北側の書斎。一見頼りなさげなL字型のテーブルですが、壁内に埋め込むかたちで据え付けているので見た目とはうらはらにかなり頑丈です。
2階トイレスペース。かまぼこを縦に引き延ばしたような形のミラーはお客様からお預かりした製品を取り付けさせていただきました。
以上、T様邸の完成写真(の一部)でした。「施工事例集」ではこちらで紹介した写真以外にもたくさんの写真を紹介しています。ぜひご覧ください。
◎調布市・I様邸(本棚いっぱいリビングの家)
上のT様邸と同じようにI様邸も先日撮影した完成写真を紹介する予定だったのですが、写真の納品がぎりぎり間に合わず・・・。そこで今回はお引き渡し前後の家づくりエピソードをいくつか紹介したいと思います。
下の写真の丸い石板はなんだかわかりますでしょうか?実はコレ、土間の洗い出し仕上げのサンプルなのです。I様邸の玄関土間は洗い出し仕上げにするのですが、どのような種石をどれくらいの量混ぜるかで仕上がりの印象がかなり変わります。できあがってからイメージと違った・・・とならないようにバケツの底を利用して試しに作ってみたのです。
そしてできあがった洗い出し仕上げの玄関土間。
玄関前のポーチも洗い出し仕上げにしています
先ほどのサンプルをお見せした時に、I様の奥様が「かわいい!お庭に置きたい!」とおっしゃったので、ちゃんとしたきれいな丸型の石板を3つ作ってプレゼントさせていただきました。右下の少しいびつな円形の石板が最初に作ったサンプルです。
土間コンクリートを打ち終わった駐車場。なんだか少しさみしいと奥様がおっしゃるので…
那智石を使って花柄の模様を入れることにしました。下の写真は、どこに花柄を入れるか、思案中の奥様です。
花柄模様を施工中の左官職人さん。微妙な力加減でハンマーを打って那智石を埋めていきます。
日付が変わって、こちらはお引き渡し当日の写真。右側のお二人がI様のご夫妻で、中央にいるのが当社の小野寺社長。そして左側の男性2人がI様邸を設計していただいた建築事務所の方々です。図面として描いたプランが実物の家として完成した喜びを発表されている瞬間です。
お引き渡し式のあと、表札の位置をどこにしようか相談中のご主人と建築士のおふたり。
こちらはユニットバスの使い方の説明をされているTOTOのスタッフと、真剣な面持ちで耳を傾ける奥様。
以上、お引き渡し前後の家づくりエピソードを紹介いたしました。I様邸の完成写真は次回の月刊小野寺工務店でご紹介します。乞うご期待ください!
◎調布市・K様邸(ビルトインガレージの家)
8月後半に行った上棟の様子を紹介します。技術的かつダンドリ的に非常に複雑な上棟作業だったのですが、それよりもなによりも、とにかく暑さがやばかったです。
まずはできあがったK様邸の基礎の写真をご覧ください。敷地の東側、少し離れた場所に斜面がある関係で、東京都安全条例にしたがってコの字型の擁壁(ようへき)一体型の基礎になっています。
少し遠目から撮影したK様邸の基礎。この写真の方が擁壁のコの字形状がわかりやすいですね。上棟に備えて足場の組み立てが終わっています。
いよいよ上棟開始です。すでに早朝とは思えない日差しが降り注いでいます。この日は最高気温が35℃を超える猛暑日でした。
南側の擁壁の内側にあらかじめ組み立てておいた壁パネルを設置する職人さんたち。擁壁と壁の間にほとんど隙間がなく、外側から作業ができないので、南北の擁壁の内側部分だけハウスメーカー風の木造パネル工法ということになります(それ以外はいつもの木造軸組み工法です)。
擁壁の上から固定した壁パネルをチェックする職人さん。黄色い矢印はあらかじめ作っておいた窓用の木枠です。この写真だけ見るとハウスメーカーのプレハブ住宅の組み立てみたいですね。
北側に続いて、南側の擁壁の内側にも壁パネルを設置していきます。パネル上のクリーム色の塗料はゴールドコートという防水気密塗料です。擁壁の内側に固定してからでは塗れないので、あらかじめ塗っています。
黄色い矢印の先をご覧ください。擁壁の上に土台が組まれ、その上に柱が立っています。南北の擁壁は純粋に擁壁として使用するのですが、東側の擁壁は建物の基礎としても使います。南北と同じように擁壁の内側に壁を作る方が楽なのですが、そうすると家が擁壁の分狭くなってしまうので、ひと工夫しています。
壁パネルを持ち上げる職人さんたち。黄色矢印の職人さんの首を見てください。首の力まで使って調整しています。
ギラギラと容赦なく照り付ける8月の太陽。
殺人的な暑さの中、テキパキと上棟を進める鈴川大工。カッコいい!
小野寺工務店が誇るマルチ職人の古川さん。こちらもカッコいい!
勾配天井に架かる登り梁(のぼりばり)を組み立てる職人さんたち。酷暑の中、なんとか屋根組みまで辿り着きました。
屋根組みが終わりました。時間に余裕があれば垂木を組んで屋根の下地材を貼るところまでやるのですが、複雑な上棟作業であったこと、さらに熱中症予防のための休憩を多めに取ったこともあり、この段階で上棟完了とすることにしました。
できあがった屋根の一番高いところに幣串(へいぐし)を飾り付けました。ちなみに幣串は家内安全と魔除けの飾りです。
上棟から1週間後のK様邸。屋根がすっかりできあがっています。
木工事が進み、窓の設置も終わり、あっという間に家らしくなってきました。
鉄骨階段の設置も終わっています。擁壁の上に壁を立ち上げているのがよくわかる写真です。
最後に紹介するのはバルコニーにFRP防水処理をほどこす職人さん。FRPはFiber Reinforced Plasticsの略で、日本語に訳すと繊維強化プラスチックとなります。今から数年前に初めてお願いした職人さんなのですが、仕事ぶりがめちゃくちゃに丁寧で、それ以来FRP防水についてはいつもこの職人さんにお願いするようにしています。
◎調布市・M様邸(L字型の土間リビングのある家)
前回地鎮祭の様子を紹介したM様邸。今回は基礎工事の様子を紹介します。
下の写真は、今を遡ること約1年前。M様邸の敷地調査を行った時の写真です。隣家との距離や日当たりはもちろん、近くに工事車両を停めておける駐車場があるかどうかなども調べます。この時はまわりに一軒も家が建っていませんでした。
あれから1年、いよいよ家づくりが始まります。いつのまにやらまわりが家だらけになっています。
基礎を作るために地面を掘り下げていきます。この工程のことを根切りといいます。
掘り下げた地面の上に砕石を敷き詰めて、その上から防湿シートを貼り、さらに防湿シートを抑え込むように捨てコンクリートを打ちます。
基礎断熱用の断熱材が搬入されてきました。
基礎の配筋工事をする前に地面の上、そして基礎の側面になる場所に断熱材を敷き詰めていきます。この後、この断熱材で作った箱の中に建物の基礎を作っていきます。建物の基礎をすっぽり断熱材で包み込むこの工法のことを基礎断熱工法といいます。
基礎の配筋工事が終わりました。このあとコンクリートの打設を行います。
(続く)