「スマートウィン佐藤の窓の取付工事は大仕事」と「レトロな柄入りガラスはなかなか手に入らない貴重品」の巻/2023年4月号
パッシブハウス認定を目指すT様邸の家づくりですが、載せたい写真、書きたい事柄がたくさんあって、写真選びに四苦八苦してしまいました。パッシブハウスにご興味のある方はぜひ一度会社までお越しください!月刊小野寺工務店では語りつくせない、工夫の数々をお話ししたいと思っています。
目次
1.杉並区・K様邸(変形地に建てる完全分離の二世帯住宅)
2.三鷹市・S様邸(シンプルな2階リビングの家)
3.西東京市・T様邸(パッシブハウス認定を目指す家)
4.調布市・I様邸(本棚いっぱいリビングの家)
◎杉並区・K様邸(変形地に建てる完全分離の二世帯住宅)
昨年9月に始まったK様邸の家づくりもいよいよ佳境を迎えています。今月は完成直前のK様邸のレポートから始めたいと思います。
下の写真は、外壁工事が終わったK様邸です。少しベージュがかった色の塗り壁が、なんとなく洋風的で、かわいらしい雰囲気を醸し出しています。
外構工事を始めるにあたり、まずはブロック塀の色決めをしていただきました。ブロックの色で外観の印象はかなり変わるので、後悔のないよう、下の写真のように実物を並べて選んでいただきました。
工事が進むエントランス。玄関ドアはスペースを有効に活用できる引き戸タイプです。
エントランスのタイル工事完了。
玄関内側のタイル工事も終わりました。複雑な形状の玄関なので、タイルの加工が大変でした。
外構でひとつ悩まれたのが、敷地の角の花壇のデザイン。下の写真の青枠の部分です(ピンクの斜線は駐車場です)。ブロックを積もうか、枕木で作ろうか、決めては悩み、悩んでは決断し・・・を繰り返した結果、花壇を作るのは後回しということに。焦って決めてもいいことはないので、賢明な判断だと思います。
ここからは家の中の様子を紹介していきます。来月号でカメラマンさんに撮ってもらった竣工写真を紹介する予定なので、今回はかいつまんで紹介しておきます。
子供部屋の壁に造り付けた参考書サイズの本棚。壁の向こう側は主寝室のクローゼットなのですが、クローゼットの幅を少しだけ狭くして造作しています。
子世帯のキッチンの腰壁。ラワン合板を使ったラフな印象の腰壁は当初のプラン通りですが、思っていたイメージと少し違うかも…という話になり、この後、マグネットボードを仕込んだ白い腰壁に変更しました。
子世帯のフローリングには節なしの無垢の杉板を採用しました。
子世帯のロフトスペース。当初、床については構造用合板のまま仕上げる予定でしたが、少し味気ないかもという話になり、最終的に若草色のタイルカーペットを敷きました。若草色、いいですよね!
鋭角の角に小さな収納を造作した子世帯のトイレ。
トイレの横、ロフトに上がる階段横のデッドスペースに作った手洗いスペース(子世帯)。
上の写真の真下に位置する親世帯の階段横のスペース。こちらには飾り棚を造作。
お仏壇スペース。照明カバーは障子を利用して造作しています。
元々あった植栽をできるだけ残して家づくりをしたおかげで、窓からの緑が目に優しい家ができあがりました。
◎三鷹市・S様邸(シンプルな2階リビングの家)
下の写真は完成したS様邸の外観。1階の窓が少し奥に引っ込んでいますが、これは駐車場を広くとるための苦肉の策。以前に書きましたがS様はエアコン工事の職人さん。仕事で使用する大きなワンボックスカーを停める必要があり、そのためにこのようなちょっと複雑な壁面構造になっているのです。
1階から2階に上がるスケルトン階段。左側の突起は手すりの台座です。
造作したキッチンの背面カウンター。できるだけ家具を置きたくないというご要望があり、ほとんどの収納は造作しています。
リビングのテレビボード。こちらも造作です。
◎西東京市・T様邸(パッシブハウス認定を目指す家)
前回、上棟の様子を紹介したT様邸。家づくりは着々と進んでいます。
上棟直後、野地板(屋根の下地材)を貼った状態のT様邸。これからパッシブハウス仕様の屋根断熱を施していきます。
野地板の上から厚さ90ミリの断熱材(フェノバボード)を敷き詰めていきます。
どうですか?この厚み!北極の氷の海を悠々と泳ぐアザラシの皮下脂肪並みの断熱性能を持っているような気がします(比べたことはないですが)。
敷き詰めた断熱材の上に垂木を組み、その上にもう一度野地板を貼っていきます。すなわち2層の野地板の間に断熱材を挟み込むサンドイッチ構造の屋根ができあがります。
できあがったパッシブハウス仕様の高断熱屋根の断面写真です。2層の野地板で断熱材(フェノバボード)を挟んでいるのがわかりますでしょうか。
次に、窓サッシの取付工事の様子を紹介していきます。T様邸で使用する窓サッシは「スマートウィン 佐藤の窓」。窓枠に断熱材を組み込んだ超高断熱仕様の国産木製トリプルサッシです。
一番大きな(≒一番重い≒一番大変な)リビングの掃き出し窓から取り付けを行います。かなりの重量なので、大工、職人総がかりで取り付けを行います。
躯体側の受け入れ体制も万全です。黒いのは先張り防水シート。その上の緑の養生テープで止めてある細長い繊維片は、スーパーヘビー級の木製サッシをスムーズに設置するために編み出した秘密道具です。
窓にも建物にもキズが付かないよう、細心の注意を払いつつ、ゆっくりはめ込んでいきます。
はめ込みが終わったら、柱とサッシの木枠の面合わせ(つらあわせ)を行います。「神は細部に宿る」という言葉がありますが、こういった地道な作業の積み重ねがきれいな仕上がりにつながります。
(ちなみに「神は細部に宿る」という言葉は、ドイツの有名建築家ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエという人の言葉です)
無事にすべての窓の取り付けが終わりました。下の写真は南側のウッドデッキに面した3つの窓。
2階南側の窓も取付完了。
取付工事が無事に終わり、スタッフ全員で記念撮影!大仕事をやり遂げた表情の大工、職人、佐藤の窓の佐藤社長(左から1人目)、小野寺社長(左から2人目)。みなさま、おつかれさまでした!
窓の取付工事から数日後、電気打ち合わせを行いました。コンセントの位置と数、スイッチの位置、照明の取付位置などをひとつひとつ確認していく大切なイベントです。ちなみにモスグリーンの上着が奥様、その左側がご主人様、一番手前の作業服姿の男性が電気工事の職人さんです。電気打ち合わせでは毎回たくさんの変更が出るので、忘れずにメモしていきます。
T様邸のレポートはもう少しだけ続きます。下の写真は付加断熱工事が進むT様邸。建物の外側全体に隙間なく断熱材を貼り付けていきます。
使用する断熱材は、屋根と同じ、厚さ90ミリのフェノバボード。室内の暖かさ、涼しさを1℃たりとも逃がさない仕様です。
小さくカットしたフェノバボード。何に使うかというと…
庇(ひさし)の根元にはめ込んでいきます。超高断熱・超高気密のパッシブハウスはこのようにしてできあがっていきます。
◎調布市・I様邸(本棚いっぱいリビングの家)
いよいよ工事が始まりました。
遣り方(やりかた)を組む基礎工事の職人さんたち。遣り方は、ただの侵入防止用の木柵ではありません!建物の位置、高さの基準となる大切な木枠です。
基礎を作るために地面を掘り下げていきます。この作業のことを根切りといいます。
掘り下げた地面のなかに砕石を入れました。このあと道路工事の現場でよく見かけるプレートコンパクターという機械を使って踏み固めます(転圧といいます)。
転圧した地面の上に防湿シートを敷き、周囲に捨てコンクリートを流し入れ、さらに型枠を立ち上げた状態です。
型枠の内側と防湿シートの上に基礎断熱用の断熱材を敷き詰めて…。
その内側に基礎配筋を組んでいきます。
配筋工事が終わり、配筋検査を受けている様子。
[おまけの写真]
下の2枚の写真は、建て替え前の家から持ち出した古いガラス建具です。ガラス部分を新居の数か所にアクセントとして入れるために、現在、小野寺工務店の倉庫で大切に保管しています。こういうレトロっぽい柄入りガラスは、現在はなかなか手に入りません。もし家の中にこういうガラス建具があったら、大切にしてあげてくださいね。
(続く)