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月刊小野寺工務店【Monthly Onodera】

「K様邸のウチソトの断熱工事」と「二世帯住宅は防音が大切!」と「S様邸の手起こし上棟」の巻/2023年1月号

Date:2023年1月31日 |

今月の月刊小野寺工務店は、杉並区K様邸の断熱工事と三鷹市S様邸の手起こし上棟の様子を中心にお届けします。

目次
1.杉並区・K様邸(変形地に建てる完全分離の二世帯住宅)
2.三鷹市・S様邸(シンプルな2階リビングの家)

 

◎杉並区・K様邸(変形地に建てる完全分離の二世帯住宅)

K様邸では、家の内側と外側で断熱工事が始まりました。今回はその断熱工事の様子からレポートを始めたいと思います。

まずは家の外側の断熱工事から。「外断熱」という言い方をすることが多いですが、小野寺工務店では「付加断熱」という言い方をしています。基本となる内側の断熱があって、さらに断熱性能を上げるために付け加えているという意味です。「付け加えている」と書くとおまけのような印象を持ってしまうかもしれませんが、それは大きな間違いで、この付加断熱だけでも十分な断熱性能を実現できています。

下の写真の白いボードが、付加断熱用の断熱材のEPSボードです。南極の昭和基地でも使われている超高性能な断熱材です。


 

EPSボードを専用の接着剤のような下塗り材を使って、壁全体に隙間なく貼り付けていきます。


 

外壁には窓があったりするので、どうしても下の写真のような隙間ができてしまうのですが・・・


 

そんな隙間にはEPSボードを細かく切断してはめ込んでいきます。下の写真の機械は熱線式スチロールカッターというEPSボードを切断するための専用の道具です。ノコギリやカッターで切断することもできるのですが、これを使うと切断面がまっ平になって、隙間なくぴったりはめ込むことができます。


 

最終的に家全体をすっぽりEPSボードで包み込むのですが、今回の工事の進捗はここまでです。付加断熱完了の様子は来月に紹介したいと思います。

続いて、内側の断熱工事の様子を紹介します。内断熱という言い方をする会社もありますが、小野寺工務店では「充填断熱」と呼んでいます。充填断熱プラス先ほどの付加断熱。これが小野寺工務店の標準の断熱仕様です。

下の写真の左側に積まれているビニールの袋に入った灰色の物体。これが充填断熱に使う断熱材のセルロースファイバーです。セルロースファイバーの施工方法にはいくつかのやり方があるのですが、小野寺工務店では沈下の心配のないウォータースプレー方式を採用しています。


 

ビニール袋から取り出したセルロースファイバーを、セルロースファイバー吹き付けマシン(正式な名称は別にあります)の中にほぐしながら入れていきます。マシンに入れられたセルロースファイバーは、ホースの先のスプレーガンから噴き出るしかけになっています。


 

スプレーガンを利用して壁の中にセルロースファイバーを吹き付けていきます。ウォータースプレー方式で使用するセルロースファイバーには、微量の糊成分が混ぜ込んであり、霧状の水といっしょに吹き付けることで、壁に固着します。といっても、糊も水の量もわずかなので、吹き付けたセルロースファイバーの半分ほどはくっつかずに落ちてきます。落ちてきたセルロースファイバーは丁寧に集めて、また吹き付けます。ウレタンフォームの吹き付けと比べると、手間のかかる地道な作業が必要です。


 

親世帯の主寝室、充填完了。


 

子世帯のリビング&書斎も充填完了です。


 

断熱工事が終わると、家中のあちこちで様々な大工工事が始まります。ここからはそんな大工工事のいくつかを紹介したいと思います。

密度24Kの高性能グラスウールが現場に届きました。アレ?断熱工事は終わったはずでは?と思われた方は家づくりに詳しい方ですね!このグラスウールは断熱用ではなく、1階と2階の防音材(吸音材)として使用します。親世帯と子世帯で生活時間帯が異なることの多い二世帯住宅では、後々生活音が問題になることが少なくありません。そのため床の防音処理は念入りにするようにしていて、そのためのグラスウールなのです。


 

グラスウールで吸音処理を施した1階の天井(2階の床下)です。写真ではグラスウールしか見えないですが、遮音ボード+サウンドカット(制振材)+グラスウールというトリプル防音構造になっています。


 

変形敷地に目一杯の大きさの家を建てるために、K様邸の建物の形は複雑な六角形形状になっていて、そのため家のあちこちに下の写真のような三角形の隙間が存在します。


 

そんな隙間をどう活用するか?工務店のアイデアと技と遊び心が試されるような気がします。下の写真は、2階からロフトに上がる階段横の隙間。ここには手洗いスペースを作ります。


 

1階の階段下の台形のスペースには床下エアコンを設置する予定です。


 

1階の階段横の隙間。この隙間には飾り棚と収納を作る予定です。


 

床工事も始まりました。1階(親世帯)の床に使用するのはオークの無垢材です。堅くてキズがつきにくいのが特徴で、アンティークの家具などによく使われています。


 

2階(子世帯)には無垢の杉板を張ります。柔らかくて蓄熱性が高く、素足ですごすのが気持ちよい素材です。節ありと節なしがあり、リビングは節なしを採用しました。


 

 

◎三鷹市・S様邸(シンプルな2階リビングの家)

前回、基礎工事の様子を途中まで紹介したS様邸。基礎はすっかりできあがりました。


 

コンクリートの基礎(灰色部分)と、基礎と一体化した断熱材(白い部分)。小野寺工務店は、基礎をまるごと、横からも下からも断熱材で包み込む基礎断熱を採用しています。


 

断熱材の上部は蟻返し板金という金属で保護します。下の写真の矢印が蟻返し板金です。


 

基礎ができあがると、その上に土台を組んでいきます。


 

土台が組み終わると、いよいよ上棟です。下の写真にもハッキリ写っていますが、S様邸の家の前にはたくさんの電線が架かっています。なので、クレーンを使えるのは、家の前に構造材を積むところまで。上棟は人手で行います。ちなみにクレーンを使わず人力で行う上棟のことを「手起こし(ておこし)」と言います。


 

下から上へ、2階の柱を持ち上げる職人さん。


 

梁(はり)や桁(けた)は、四人がかりで受け渡します。ロープを結んだり解いたりの作業がない分、体力的にはしんどいですが時間的には手起こしの方が早く進みます。


 

お昼休み、S様(写真左の男性)がお弁当を差し入れてくれました。S様はエアコン工事の職人さんで、小野寺工務店の家づくり仲間です。大工、職人さん全員と顔見知りなので、「僕の家、よろしくお願いします~」「まかせとけ!」と、まあそんな感じの和気あいあいとしたひとコマです。


 

屋根組みまで終わりました。抜けるような青空ですね。この日は好天に恵まれました。


 

外壁の構造用面材を上げていきます。かなりの枚数があるので、これはなかなかの重労働です。


 

野地板(屋根の下地材)を貼っていきます。S様邸の屋根勾配は2段階傾斜になっていて、写真の奥側は6寸勾配、角度にすると約31度です。スキーやスノボをする方ならおわかりだと思うのですが、31度は上から見下ろすと直角に切り立った壁のように見える角度です。それでも大工連中は軽々と移動しながら工事を進めていきます。


 

野地板を貼り終え、上棟が無事に完了しました。


 

上棟完了後のS様邸の写真を載せておきます。


 

もう一枚。


 

上棟の翌日、防蟻処理を行いました。小野寺工務店では、ボラケアというホウ酸塩を利用した防蟻防腐剤を使用しています。ホウ酸塩はシロアリにとっては猛毒ですが、人が普段食べる食事にもごく当たり前に入っている成分で、人やペットが舐めても無害です。


 

決められた高さまでしっかり塗っておきます。


 

 

(続く)

 

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