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月刊小野寺工務店【Monthly Onodera】

「府中市N様邸の完成写真を大公開!」と「内からも外からもガッツリ!NA様邸の断熱工事」の巻/2022年6月号

Date:2022年6月30日 |

今回の月刊小野寺工務店は、府中市N様邸の完成写真をメインにお届けします。また三鷹市では新しくO様邸の家づくりが始まりました。

目次
1.府中市・N様邸(セカンドリビングのある注文住宅)
2.調布市・NA様邸(ドーマーと土間のある注文住宅)
3.三鷹市・O様邸(ウッドデッキのある注文住宅)

 

◎府中市・N様邸(セカンドリビングのある注文住宅)

では早速、N様邸の完成写真をご覧いただきたいと思います。

まずは1階の吹き抜けリビングの写真です。東南の2方向から明るい日差しが入るLDKです。階段下にルーバーがありますが、この奥に床下エアコンを設置しています。写真右側(南面)の窓の上部にはロールスクリーンを格納するためのカーテンボックスを造り付けています。


 

リビングの西側には3.5帖の小上がりの和室があります。障子の格子を和室側に向けるか、リビング側に向けるか、かなり悩みました。和室側に向けるのが基本ですが、リビングからの見た目を重視したいという意見もあり…。最終的に基本に忠実に和室側に向けています。


 

吹き抜けに突き出た細長い木枠の中には照明用のライティングレールを組み込んでいます。小上がりの和室の真上の部屋は、子世帯のセカンドリビングです(N様邸は三世帯同居のお住まいです)。和室の障子も吹き抜けに面したセカンドリビングの障子も、建て替え前の住まいにあった障子を再利用しています(もちろん紙は貼り替えています)。


 

写真右側の濃い色の柱は、以前の家の大黒柱です。背比べの跡が残っていて、新しい家に持っていきたいというご要望を叶えるため、和室の化粧柱として使うことにしました。できあがってみればどうということもない普通の和室に見えますが、障子と大黒柱を再利用するために、細かな造作を積み重ねています。


 

柱に残る背比べの跡。


 

システムキッチンはクリナップのステディアです。ステディアは、天板や扉だけでなく、キャビネットの中も引き出しの底板もステンレスです。キッチン奥の壁は全面がマグネットボードになっています。


 

造作したキッチンの背面カウンターと背面収納。段違いの背面収納はN様からのリクエストです。コーヒーカップなど普段使いのものを入れるのに奥行きの浅い収納は便利です。壁に貼った水色のタイルは名古屋モザイク製。食洗器はイケアで購入されたエレクトロラックス社の製品を組み込んでいます。(ステンレスの天板に伸びる光線は、戸棚下に付けた間接照明のLEDライトが原因です。このままでは違和感があるので、これはその後の追加工事で改修しています)


 

N様邸の独立洗面スペース。最近、脱衣室(ランドリールーム)と洗面スペースを別々の場所に設置されるご家庭が増えてきました。年頃の娘さんがお風呂に入っている間、家族のだれも洗面化粧台を使えない…というよくある問題が解消します。


 

こちらは玄関ホールです。右側はシューズクローク。正面の花瓶の下も収納スペースです。花瓶の両端の壁板ですが、デザイン的な観点から、真ん中に縦溝を掘って「目透かし」としています。ちょっとした工夫ですが、目透かし1つでぐっとカッコよくなります。床材の無垢の杉板ですが、新築時は色のバラツキが目立ちますが、半年ほどで全体が飴色に変化して、色の違いはそんなに気にならなくなります。


 

スタディカウンターのある2階ホール。右奥はロフトに上がる階段です。ロフトにエアコンが設置してあり、そのエアコンからの冷気が、天井のスノコから吹き抜けを通して家全体に降りるようになっています。


 

東面と南面の大きなFIX窓から日差しが燦々と差し込んできます。左側の収納は、子供部屋と2階ホールを仕切る壁を利用して造作した文庫本用の書棚です。


 

2階のセカンドリビングです。勾配天井で、ロフトに対して吹き抜け的な構造になっているので開放感があります。カーペットはグリッパー工法で施工しています。グリッパー工法は、床の上にフェルトの下地材を敷き詰め、グリッパーという金具でカーペットを固定する施工方法です。直貼りに比べて、衝撃吸収性や防音性に優れていて、しかもカーペットの張替えも比較的簡単というメリットがあります。


 

障子とカーペットは意外に相性の良い組み合わせです。カーペットの隅を三角形に切り欠いているのは、24時間換気の換気口と埋め込みコンセントを設置するためです。


 

ロフトスペースです。右側の列柱の下にセカンドリビングがあります。奥の壁に設置したエアコンからの冷気が床のスノコから下に降りるしかけになっています。ロフトの床はお施主さまが自分でDIYされるので、構造用合板のままになっています。


 

1階の脱衣所(ランドリールーム)です。白い四角形の機械はガス乾燥機の「乾太くん」です。


 

左側の収納一体型の手洗い器は既製品なのですが、N様邸の他の部屋の建具と色と素材を揃えるため、造作した扉に付け替えています。


 

最後にN様邸の外観写真です。外壁材はガルデという大理石を主成分にした塗り壁材です。写真撮影のタイミングでは、外構は未完成でした。南側のウッドデッキも工事中です(屋根上から飛び出して見えるのは後ろのマンションです。ねんのため)。


 

N様邸の完成写真はいかがだったでしょうか。「施工事例集」ではこちらで紹介した写真以外にもたくさんの写真を掲載しています。ぜひそちらもご覧ください。

 

 

◎調布市・NA様邸(ドーマーと土間のある注文住宅)

今回は、セルロースファイバーを使用した充填断熱(内断熱)工事と、EPSボードを使用した付加断熱(外断熱)工事について詳しくレポートしたいと思います。

建築現場にアップルゲート社製のセルロースファイバーが到着しました。こちらは充填断熱(内断熱)用の断熱材です。大量のセルロースファイバーを壁内に充填することで、高い断熱性能を実現します。


 

セルロースファイバーを専用の道具を使って、壁内に吹き付けていきます。一般的なセルロースファイバーと違って、アップルゲート社のセルロースファイバーにはトウモロコシから作られた天然の糊成分が添加されています。吹き付ける際に霧状のわずかな水分と混ぜ合わせることで、壁の中に固着させていきます。一般的なセルロースファイバーは時間が経つにつれて沈下してしまい、断熱層の上のほうに隙間ができてしまうという課題がありますが、アップルゲート社のセルロースファイバーにはその欠点はありません。


 

壁の厚みからはみ出したセルロースファイバーを専用のローラーでそぎ落としていきます。


 

セルロースファイバーの充填が完了した2階の主寝室。セルロースファイバーは吸音・遮音性能に優れているので、断熱材を入れると建築現場が途端に静かになります。


 

NA様邸では主寝室の遮音性能を高めるため、間仕切り壁の中にも断熱材を施工していきます。写真下側の長方形の開口部が部屋の出入り口で、その両側の白いシートが貼ってあるところが間仕切り壁になるところです。これからこのシートに対してセルロースファイバーを吹き付けていきます。ちなみに主寝室の向こう側は階段ルームと子供部屋です。


 

セルロースファイバーを使用した充填断熱工事が終わりました。下の写真は1階の土間になるエリアです。


 

屋内の断熱工事が終わると、大工工事が一気に加速していきます。さてここでクイズです!下の写真の大工は何を作っているか、わかりますでしょうか?ヒントは足元の曲線形状の木片です。


 

答えは、曲線状に仕上げる玄関土間の上がり框の部材を作っていたのでした。曲線状の上がり框は、同じようにカーブした複数枚の板を積み上げて作っていきます。(上がり框だけではなく、天井部分もつくる必要があります)


 

左側が型紙がわりの木片。右側が検品用の型枠。この型枠にきっちり嵌るように、鉋(かんな)を使って一枚ずつ作っていきます。


 

上がり框が曲線形状ということは、床材ももちろん曲線に仕上げる必要があります。細かな造作が続きますが、大工魂は燃えています。


 

曲線状の上がり框も含めて、1階の床工事が終わりました。すぐに養生シートで覆っておきます。


 

もうひとつクイズを出題させてください!これはなにかわかりますでしょうか?これも大工が作ったものです。


 

答えは床埋め込み型コンセントの配線ボックスです。既製品の埋め込みコンセントの場合、床から少し出っ張りますし、見た目が家全体の雰囲気に合わないこともあります。そういった理由からNA様邸では、床埋め込み型コンセントを造作しています。無垢の床材と一体化したデザインのコンセントボックスができあがる予定です。いずれブログで紹介しますので、乞うご期待ください。


 

断熱工事のレポートに戻ります。先ほどはセルロースファイバーを使用した充填断熱(内断熱)の様子を紹介しましたが、ここからはEPSボードを使用した付加断熱(外断熱)工事のレポートになります。

下の写真は、NA様邸前に到着したEPSボードとEPSボード専用の接着剤(ベースコート)です。写真に写っているEPSボードは実際に使用するEPSボードの1/10ぐらいです。


 

NA様邸で使用する100ミリ厚のEPSボード。南極の昭和基地にも使われている高性能な断熱材です。壁の中に充填するセルロースファイバーと建物を外側からすっぽり覆うEPSボードのダブル断熱により、小野寺工務店の家は極めて高い断熱性能を実現しています。


 

EPSボードを裁断する職人さんたち


 

裁断したEPSボードを建物の外壁全体に貼り付けていきます。パズルのような作業です。


 

ひとつひとつ丁寧に隙間なく貼り付けていきます。


 

EPSボードの貼り付け作業中のNA様邸。付加断熱工事はもう少し続きます。


 

[おまけの写真]
赤丸で囲んでいるのは、勾配天井の羽目板(はめいた)と火打梁(ひうちばり)の接合部分です。羽目板一枚一枚に切り欠きをしておさめていきます。会心の出来栄えだったようで、大工から「ここ写真撮っといてよ」とリクエストがあったので、載せておきます!


 

 

◎三鷹市・O様邸(ウッドデッキのある注文住宅)

下の写真は、竹林で竹を切る職人さん(古川さん)です。七夕飾りに使うのでしょうか?あるいは流しそうめんに使うのでしょうか?


 

答えは、三鷹市O様邸の地鎮祭に使う竹を切っていたのでした!今回は新しく始まったO様邸の家づくりの序章部分をレポートいたします。


 

地鎮祭の前に、地縄張りを施したO様邸の敷地。地縄張りというのは、敷地の上に紐や水糸を使って建物の位置を表示する作業のこと。東京ではほとんどありませんが、土地に余裕のある地方だと、地縄張りをみて、「もう2メートル東側に」みたいなやりとりがあったりするそうです。


 

地縄張りを目印に木片を並べて…


 

杭を打って「遣り方(やりかた)」を組んでいきます。遣り方は、建物の基礎の高さの基準になるとても大切なものです。レーザーレベル(レーザー水平器)を使って正確に水平を測りながら設置していきます。


 

できあがった遣り方。ただの侵入防止用の木枠ではありません!とっても重要なものなのです。


 

遣り方ができあがるといよいよ基礎工事が始まります。まずは小型ショベルカーを使って地面を掘り下げていきます。この工程のことを「根切り(根伐りと書くこともあります)」といったり、「床掘り」といったりします。この後、砕石を入れて、防湿シートを貼って、捨てコンクリートを打って…という流れになるのですが、それらは来月号でレポートしたいと思います。


 

(続く)

 

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