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月刊小野寺工務店【Monthly Onodera】

M様邸の造作テレビボードに隠された断熱層を守るアイデアと勾配天井に取り付ける間接照明はミリ単位で調整!の巻/2021年7月号

Date:2021年7月27日 |

今月は、少々専門的で、マニアックな話の多い月刊小野寺工務店になりました。できるだけわかりやすく書いたつもりですが、それでもわかりにくいかもしれません。よくわからないけど、知りたい!そんな時は、お電話ください!詳しくご説明いたします!

目次
1.世田谷区・M様邸(住宅密集地に建つ坪庭のある家)
2.調布市・MK様邸(吹き抜けのある注文住宅)
3.調布市・MM様邸(陽当たり重視の注文住宅)
4.おすすめアイテム紹介のコーナー(8)/Mクロス

 

◎世田谷区・M様邸(住宅密集地に建つ坪庭のある家)

前回、付加断熱(外断熱)工事の前半戦部分を紹介したM様邸。今回は、その後半戦の様子からレポートを始めたいと思います。

下の写真は、M様邸の家全体に隙間なく貼り付けたEPSボード。先月号でも紹介しましたが、今月号から読み始める方も中にはいると思いますので、あらためて書いておきます。EPSボードは南極の昭和基地でも使われている超高性能な外断熱用の断熱材です。


 

EPSボードの貼り付けが終わると、その上からベースコートという専用の接着剤を、全面にメッシュを張り込んで塗っていきます。ベースコートが乾いたら、付加断熱(外断熱)工事は完了となります。(下の写真は、ベースコートが乾いた状態のM様邸)


 

付加断熱(外断熱)工事が終わると、ようやく外壁の左官工事が始まります。M様邸では「ガルデ」という、天然大理石が主成分の塗り壁材を使用します。

下の写真は、ベースコートの上からガルデを塗る左官職人さんです。


 

ガルデの一度目の塗りが終わりました。ガルデは二度塗りで仕上げるので、この上からもう一度塗っていきます。


 

二度目の塗りを行う左官職人さん。二度塗り目はガルデに細かな砂の粒子を混ぜて塗るので、下の写真のような少し凹凸のあるテクスチャーに仕上がります。砂を混ぜずに、つるっとした滑らか仕上げにすることもできるのですが、砂を混ぜてザラっとした感じに仕上げた方が、光が当たった時に陰影ができて、深みのある印象になります。


 

家の中では、クロス(壁紙)工事が進んでいます。下の写真は、丁寧にパテ処理を行った上から壁紙を貼るクロス職人さんです。電気工事、水道工事、板金、左官、建具など、いろんな職人さんが力を合わせて、ひとつの家を作っていきます。


 

クロス職人さんの頑張っている姿をもう一枚!


 

ここからは、少しマニアックな(技術的かつ専門的な)お話が続きます。

まずは間接照明のお話。下の写真の窓枠上部の桟は、間接照明を設置するための桟ですが、この桟の高さ、実はミリ単位で施工しています。勾配天井に間接照明を入れる場合は、照明の取り付け位置が1センチ変わるだけで、光の広がり方や光線の伸び方がまるで違ってきます。
ですので、照明器具メーカーのDAIKOさんに協力いただいて、光の広がり方のシミュレーションを行い、その計算どおりの高さに取り付けています。意匠的には向こう側の天井と桟の下側の高さを合わせたいところですが、ここは光の広がり方を優先しました。何気ない1本の桟にも、小さな工夫が詰まっている、というお話です。


 

次のマニアック話は、エアコン用のルーバーのお話です。M様邸には、吹き出し口が2つあり、それぞれ床下と床上に暖気・冷気を送る、床置型エアコンを設置します。下の写真は、その床上部分の送風口ですが、この送風口のルーバー、いろいろ考えて造作しています。
1)使わない時は閉めることができる、2)メンテナンスのために隙間から手を入れることができる、3)ルーバーの角度調整の動きは固すぎてもダメだし、軽すぎてもダメ。これだけでも事務所で設計図を作り、弊社の会長が造作した優れものです。


 

ルーバーを閉じるとこのようになります。


 

最後のマニアック話は、リビングの造作テレビボードの取り付け方法についてです。まず下の写真を見てください。最近増えてきた、足のない、壁に取り付けるタイプのテレビボードです。床面との間に22センチのスペースが空いています。理由はお掃除ロボットが家具の下もくまなく通れるようにです。

このような形で棚を壁に取り付ける場合は、背面の石膏ボード(プラスターボードともいいます)の裏側に補強用の木材を入れるのが一般的だと思います。というか、それ以外の方法があるのか?という感じかもしれません。

ところが、断熱性能にこだわる小野寺工務店は、補強用木材の厚みの分だけ、断熱材(断熱層)が薄くなることがどうにも許せないのです。そこで、当社では、壁の中に補強材を入れない方法で、壁付のテレビボードを実現しています。

家具を浮かせる手法は色々と工夫をこらしているので企業秘密であります(笑)。知りたい方は直接お尋ねくださればもしかしたら・・・

以上、マニアックなお話、3連発でした。

 

 

◎調布市・MK様邸(吹き抜けのある注文住宅)

MK様邸ではアップルゲートのセルロースファイバーを使用した断熱工事を行いました。まずはその様子をレポートしていきます。
ちなみにアップルゲートのセルロースファイバーは、時間が経つと沈下して、壁の上の方に隙間ができるという従来のセルロースファイバーの最大の欠点を解消した断熱材です。

MK様邸に搬入される大量のセルロースファイバー。重そうですが、女性1人でも1袋運べるくらい意外と軽い素材です。


 

袋に入ったセルロースファイバーを、ほぐしながら専用の機材に投入する職人さん。


 

これが、アメリカの新聞紙を細かく粉砕したアップルゲートのセルロースファイバーです。アメリカの新聞紙の原料は、純な木質パルプなので、セルロースファイバーは木から生まれた天然素材の断熱材といえます。よく見ると英語の文字があちこちにあります。


 

準備が整ったら吹き付け開始です。壁の間に隙間なく吹き付けていきます。たっぷり吹き付けて、はみ出た部分は、後で削り取ります。


 

壁が終わったら、次は天井への充填作業です。天井への充填は専用のシートを貼り、そのシートに穴を開け、そこからセルロースファイバーを吹き込んでいきます。


 

この後、シートに開けた穴を専用のシールで塞げば断熱工事は完了です。


 

断熱工事完了の写真をもう一枚。


 

続いて、気密測定を行いました。小野寺工務店では全棟で気密測定を行っています。


 

気密測定は、有限会社コンフォートさんにお願いしています。下の写真は、コンフォートの社長の室さんが、MK様のご主人さまに、建物の気密性能や気密測定について、丁寧にレクチャーされているところです。わかりやすい説明に、いつも感心してしまいます。


 

最後に、MK様邸に設置する熱交換型の24時間換気システムの紹介をしておきます。MK様邸には、ケィ・マックインダストリー社の「aire」という熱交換型のセントラル換気システムを設置します。
熱交換型の24時間換気システムは、大手のパナソニックをはじめ、いろいろなメーカーから出ていますが、ケィ・マックインダストリー社の「aire」の優れているところは、本体を上下裏返して設置することができ、その場合、2階の床を開けて、本体のメンテナンスができる点です。

24時間換気システムの最大の難点は、天井裏に設置した本体のメンテナンス作業(フィルターの掃除)を年2回、必ずしないといけない点です。メンテナンスのために、椅子や脚立に登る必要があり、お年を召した方にはかなり危険な作業です。この厄介なメンテナンス作業を、2階の床を開けてできるようにした点が、「aire」の画期的なところです。

下の写真が「aire」の本体部分です。


 

この本体から各部屋にダクトを通していきます。


 

 

◎調布市・MM様邸(陽当たり重視の注文住宅)

MM様邸の家づくりも順調に進んでいます。下の写真は、基礎の配筋を組み終えたところです。小野寺工務店は基礎断熱(基礎下断熱)を採用しているので、パフォームガードという基礎用断熱材の上に配筋を組んでいきます。この後、コンクリートの打設を行います。


 

数日後、基礎が出来上がりました。手前に2つ開いている穴は、床下エアコンの空気の流れをより良くするために開けています。


 

基礎の立ち上がりの一部を円柱形にしているのも、床下エアコンの風を効率的に床下全体にまわすことができるからです。


 

続いて、上棟の様子です。最近はクレーン車を使わない手起こし上棟が続いていたのですが、MM様邸の上棟では、ひさしぶりにクレーン車を使いました。


 

上棟の合間。休憩する職人さんたち。


 

上棟の途中で、にわか雨の予報があり、あわてて養生をしました。


 

にわか雨はすぐに上がり、無事に上棟が終わりました。


 

もう一枚。夏空です。


 

 

おすすめアイテム紹介のコーナー(8)/Mクロス

今回ご紹介するアイテムは「Mクロス」です。おすすめアイテムというより、こういう便利な建材が登場してきた、住宅業界も着実に進化しているという、豆知識的な感覚で今回はお読みください。

Mクロスは、針葉樹の合板に化粧紙(ライナー紙)を貼り付けた、画期的なクロス下地用合板です。クロスの下地材といえば、石膏ボード(プラスターボード)を使うのが一般的なのですが、石膏ボードは石膏の性質上、釘やネジの保持力がほとんどないため、壁に棚や手すりなどを取り付ける場合、その下にあらかじめ補強材を入れる必要があります。

この、あらかじめ補強材を入れる必要がある、ということに関して、次のような問題がよく起こります。

1. 補強材を入れるのをうっかり忘れてしまう
2. 補強材を入れる場所を間違ってしまう
3. 間違えずに補強材を入れるのに、確認の手間がかかる
4. 工事がある程度進んでしまうと、お客様からの、棚の追加や移動の要望に対応できない
5. 補強材の厚みの分だけ、断熱材が薄くなってしまう(このことを気にするのは、小野寺工務店を含む一部の住宅性能にこだわりのある工務店だけですが)

これらの問題を解決するのが、Mクロスです。今まで、上記の問題を解決しようとして、石膏ボードではなく、ベニヤ板をクロスの下地に使おうという試みもあったのですが、ベニヤ板からは時間の経過とともにアクが出てきて、クロスがシミだらけになってしまうため、うまくいかないのです。

Mクロスは、言ってみれば、合板に化粧紙(ライナー紙)を貼っただけの製品なのですが、それでも「よく思いついたなー」と、見るたびに感心してしまいます。

ホームセンターのカインズさんのHPから拝借してきたMクロスの製品写真です。


 

(続く)

 

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