色彩豊かな造作家具の数々!とたくさんの職人さんたちによる手起こし上棟の巻/2021年4月号
H様邸では色彩豊かな数々の造作家具が生み出されています。またM様邸ではクレーンを使わない手起こし上棟を行いました。おすすめアイテム紹介コーナーではYKKAPの「APW430」を紹介します。
目次
1.小平市・H様邸(国産木製トリプルサッシと天然リノリウムの床の家)
2.世田谷区・M様邸(住宅密集地に建つ坪庭のある家)
3.調布市・MK様邸(吹き抜けのある注文住宅)
4.調布市・MM様邸(プラン作成中です)
5.おすすめアイテム紹介のコーナー(5)/「YKKAP「APW430」」
◎小平市・H様邸(国産木製トリプルサッシと天然リノリウムの床の家)
まずは小平市のH様邸の工事レポートです。先月のリノリウムの床工事に引き続き、個性的な内装ができあがりつつあります。
下の写真は2階主寝室から階段方向を撮影したものです。H様邸の壁はラワン合板に白いペンキを直接塗って仕上げています。ペンキは3度塗りを行うのですが、すでに3度目の塗装が終わっています。正面の大きな窓は木製サッシのスマートウィンです。真っ白な壁に、木製サッシの落ち着いたマホガニー色(赤褐色)の木枠が目立ちます。
階段もできあがってきました。スマートウィンの木枠と同じ色になるように、現場で塗料を調合して仕上げています。
白い壁とマホガニー色の窓枠と階段。コントラストがはっきりしているので、空間がより立体的に見えます。
階段の手すりの設置工事が始まりました。鉄製の手すりはH様のイメージに合う形状のものをオリジナルで発注して作りました。
無事に手すりの設置が終わりました。手すりが白いのはさび止めの色です。鉄はさびやすいため最初にしっかりとさび止めを塗っておきます。後日、上から黒く塗装します。
下の写真は、H様のご主人が打ち合わせの際に持参された、建築関係の洋書のコピーです。当初から階段はこのようなイメージにしたいというご要望でした。写真の階段は折り返し階段で、H様邸の階段は直階段なので、まったく同じ形にはならないのですが、階段や手すりの形状や色合いはイメージに近いものになったように思います。
造作家具の製作も順調に進んでいます。下の写真は、できあがった造作収納に塗装を施す職人さんたちです。グラフィックデザインやファッション業界で、微妙な色合いを指示したり共有したりする時に使うDICカラーガイドという色見本帳があるのですが、H様からは、その色見本帳を使って、具体的な色の指定をいただいています。
DICカラーガイドには基本色で約650色、日本の伝統色やフランスの伝統色といったシリーズもあわせると2000以上の色が載っています。建築用塗料の色はメーカーや製品によって違いますが、せいぜい100色程度なので、カラーガイドで指定された色を再現するには、現場での調合が必要です。カラーガイドを見ながら塗料を調合するのは、大変ですが、職人冥利に尽きる楽しい作業です。
塗装が終わると、しばらく乾燥させます。手前の白いボックスはリビングに置くカウンター収納です。バラバラのボックスですが、並べるとリビングの壁面にピッタリ収まります。置き場所を変えたり、重ね置きしたりできるので、こういうタイプのカウンター収納も面白いと思います。
グリーンの収納棚は階段下に設置します。朱色の扉とグリーンの収納棚と赤褐色の階段の配色がすごく素敵だと思います。
白い収納ボックスをリビングに配置しました。きれいに収まりました。
前回の月刊小野寺工務店で紹介した造作キッチンの設置も終わりました。
洗面室には洗面カウンターとは別に、スロップシンクを取り付けました。スロップシンクとは底の深い流しのことです。バケツがすっぽり入るので、洗面化粧台では洗えないようなもの、スニーカーや上履きなどを洗うときに便利です。
スロップシンクの隣のスペースは、リンナイのガス衣類乾燥機「乾太くん」置き場になります。乾太くんのその優れた性能については、月刊小野寺工務店3月号でも紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
◎世田谷区・M様邸(住宅密集地に建つ坪庭のある家)
今回は基礎工事から上棟の様子まで、いっきにレポートを進めたいと思います。
下の写真は、捨てコンクリートの上に「パフォームガード」という防蟻剤の入った基礎用断熱材を敷き詰めているところです。
基礎の立ち上がりの外側にもパフォームガードを並べていきます。建物の基礎を下からも外側からもすっぽり断熱材で包み込む基礎断熱(基礎下断熱ともいいます)が、小野寺工務店の高断熱住宅のカギとなります。
パフォームガードを敷き詰め終わると、その中に基礎の配筋を組んでいきます。
オレンジ色の服を着た男性がM様邸の基礎配筋の上で、スクワットをしているような写真ですが、そうではなく、これは配筋検査の様子です。なぜこのような格好で写真を撮っているのかは、なぞです。
配筋検査が終わると、コンクリートの打設が始まります。まずは基礎の底面にコンクリートを流し込んでいきます。
底面のコンクリートがしっかり乾燥したら、基礎の立ち上がり部分の打設を行います。一人がコンクリートを流し込み、もうひとりがバイブレーターで振動を与えながらの、二人一組の作業です。
数日後、基礎ができあがりました。下の写真の真ん中、黒いTシャツを着た職人さんのいる正方形の場所がありますが、ここが坪庭になるところです。坪庭部分の底面は土の地面なので、この部分だけ一段低くなっています。最終的には黒土を入れ、植栽を施します。
基礎ができあがり、足場の組み立ても終わると、いよいよ上棟となります。下の写真は、M様邸の上棟の様子を撮ったものです。1階部分が組み上がったところです。今回もクレーンを使わない「手起こし」での上棟です。下から上に一本ずつ構造材を上げていきます。
2階の床組みを行う職人さんたち。剛床工法という、構造用合板を床材に使用することで、建物全体の耐震性を高める方法を採用しています。ちなみに剛床工法は、小野寺工務店独自のノウハウではなく、ほとんどの注文住宅で採用されている手法です。
順調に進む上棟作業。晴れの日の上棟は、何度やっても気持ちのいいものです。
無事に屋根の構造まで組みあがりました。
最後に、建物の一番高いところに上棟式用の幣串(へいぐし)を飾りつけ、これにて上棟完了です。関係者のみなさま、お疲れさまでしたー!
◎調布市・MK様邸(吹き抜けのある注文住宅)
前回の月刊小野寺工務店で、「いよいよMK様邸の家づくりが始まりますー!」と高らかに宣言しましたが、今回は少し地味な地盤補強工事のレポートになります。
MK様邸の敷地はもともと地下室のあるアパートが建っていた土地で、地下室を掘り起こした場所に埋め土をしていることもあり、後々不同沈下などが起こらないよう、しっかりと地盤補強を行う必要があるのです。
地盤補強の方法には、柱状改良方式や鋼管杭方式など、いくつかの工法がありますが、MK様邸では、鋼管杭方式を採用しています。下の写真の手前に写っている直径約20センチの鋼管杭を、鋼管杭回転圧入機という専用の重機を使って、支持地盤までグリグリと回転させながらねじ込んでいきます。
鋼管杭回転圧入の作業風景。
地面にねじ込まれた鋼管杭。最後に鉄製のフタをしっかり溶接しておきます。
◎調布市・MM様邸(プラン作成中です)
MM様邸の工事は5月から始まります。工事レポートは、もうしばらくお待ちください。
おすすめアイテム紹介のコーナー(5)/「YKKAP「APW430」」」
今回ご紹介するのはYKK AP社の高性能トリプルガラス樹脂窓「APW430」です。
住宅用の窓には、ガラスが1枚の単板ガラス、ガラス2枚で間に空気層を設けた複層ガラス、ガラス3枚で空気層を2重にしたトリプルガラスの3種類があり、ガラスの枚数が増えるにしたがって断熱性能も大幅に向上します。
また、窓枠の素材も重要で、屋外側も室内側もアルミでできたアルミサッシ窓、屋外がアルミで屋内が樹脂フレームのアルミ樹脂複合窓、外側も内側も樹脂を使用した樹脂窓の3種類があり、こちらは、アルミサッシ窓→アルミ樹脂複合窓→樹脂窓の順に断熱性能が上がります。アルミニウムは熱伝導性が極めて高いので、断熱性能はどうしても低くなってしまうのです。
最近の注文住宅業界の動向としては、結露が頻発し、冬の間カーテンがびしょびしょになる「単板ガラスのアルミサッシ窓」を使用するケースはほとんどなく、
(ア) 複層ガラスのアルミ樹脂複合窓
(イ) 複層ガラスの樹脂窓
(ウ) トリプルガラスのアルミ樹脂複合窓
(エ) トリプルガラスの樹脂窓
この4種類から、価格、性能、デザイン、防火仕様などを考慮して選択するケースがほとんどです。もちろん(エ)のトリプルガラスの樹脂窓がもっとも高性能なのですが、同時に価格ももっとも高くなります。
「APW430」は、YKK AP社のトリプルガラスの樹脂窓で、世界トップクラスの断熱性能を実現しています。ですので、ご予算が許せばぜひ採用していただきたい窓です。
と、ここまで窓の分類と特徴について書いてきましたが、「トリプルガラスの樹脂窓」の性能が良いのは当たり前の話で、どこの工務店さんに聞いても、『予算を考慮しなければトリプルガラスの樹脂窓がおすすめ』という結論になると思います。
というわけで、ここからは少し話の方向性を変えて、「トリプルガラスの樹脂窓」はリクシルなど様々なメーカーから出ているのに、なぜYKK AP社の「APW430」がおすすめなのか?について、簡単にお話ししたいと思います。
小野寺工務店がYKK AP社の窓を使うようになったのは、今から10年ちょっと前からです。それまでは、他の大手メーカーの窓を使っていたのですが、YKK AP社の営業マンが頻繁に事務所に来て、「性能に自信があるので一度でいいから使ってほしい」と熱心にすすめるので、あるお客様にご了承をいただいた上で、その家のすべての窓をYKK AP社のものにしてみたのです。
当時から小野寺工務店はすべての住宅で気密測定をしていたのですが、驚いたことに、窓を変えただけで、気密測定の結果が大幅に向上したのです。窓は断熱性能で語られることが多いですが、断熱性能がいくら高くても、引き違い窓の隙間から空気がスースー漏れていては、意味がありません。窓は断熱性能と同じぐらい気密性能も重要なのです。その出来事以降、小野寺工務店はYKK AP社の窓を使うようになったのです。というか、他のメーカーの窓は一切使わないようになりました。それぐらい気密性能に差があったのです。
以上、長くなりましたが、「APW430」のお話はこれでおしまいにしておきます。大開口スライディングドアの素晴らしさ、ドレーキップのメリット、熱貫流率についてなど、「APW430」についてはまだまだ語り足りないのですが、それらについては、家づくりのミーティングの時まで取っておきたいと思います。
(続く)