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世田谷で「坪庭のある家」を作ります!と調布飛行場内での倉庫建築は楽しい!の巻/2021年2月号

Date:2021年2月28日 |

調布飛行場内で倉庫の建築をしています。飛行機が離着陸をする様子をすぐ目の前に見ながらの工事は思いのほかワクワクする作業です。おすすめアイテム紹介コーナーではアップルゲートのセルロースファイバーを紹介します。

最初に目次です。
1.小平市・H様邸(国産木製トリプルサッシと天然リノリウムの床の家)
2.世田谷区・M様邸(住宅密集地に建つ坪庭のある家)
3.調布市・調布飛行場内の倉庫建築
4.おすすめアイテム紹介のコーナー(3)/「アップルゲートのセルロースファイバー(断熱材)」

 

◎小平市・H様邸(国産木製トリプルサッシと天然リノリウムの床の家)

前回、断熱工事の様子を詳しくレポートしたH様邸。現在、大工工事が順調に進行しています。

大工が階段のささらを作っています。


 

数日後、階段ができあがりました。ごく普通の階段のようですが、実は細かな意匠を施しています。(詳しくはスタッフブログをご覧ください)


 

下の写真は、造作中のリビング収納です。右側の底面に正方形の穴が開いているのは、この位置に床下点検口を設けるためです。左側にも一回り小さめの穴が開いていますが、こちらは床置きエアコンの配管を床下から家の外に通すための穴です。なかなか多機能なリビング収納です。


 

下の写真は、大工が壁にラワン合板を貼っているところです。一般的な家づくりでは、壁(内壁)の下地材には石膏ボードを使います。そしてその石膏ボードの上から壁紙(クロス)を貼ったり、漆喰や珪藻土を塗ったりして壁を仕上げていくのですが、H様邸では、「石膏ボードを使いたくない」というお施主様のご意向があり、石膏ボードの代わりにラワン合板を使っています。


 

ラワン合板を貼り終えたH様邸の2階リビング。石膏ボードと違って、ラワン合板は大きくたわむため、作業の手間と時間は3倍ほどかかりました。


 

ちなみにH様邸の内装は、壁紙や漆喰ではなく、ラワン合板の上からペンキを塗って仕上げていく予定です。どのような仕上がりになるか、とても楽しみです。

 

 

◎世田谷区・M様邸(住宅密集地に建つ坪庭のある家)

世田谷区で新しく家づくりが始まりました。築浅の住宅の建て替えで、もともとは大規模リフォームを検討されていたのですが、リフォームでは断熱性能や気密性能などの住宅性能を大きく向上させるのは難しいということで、建て替えをされることになりました。小田急線から近い住宅密集地での建て替え工事となります。

正面のグレーの住宅が今回建て替えるM様邸です。


 

冬の澄んだ青空の下、解体工事が始まりました。


 

順調に進む解体工事。


 

解体工事の様子を少し離れた場所から撮影しました。住宅の密集具合がよくわかると思います。


 

23区内の住宅密集エリアでの家づくりで困ることが多いのが、工事用車両の駐車場問題です。小野寺工務店のある調布市あたりは、月極駐車場も多く、現場の近くにすぐに空きが見つかるのですが、23区内の駅から近いエリアでは、駐車場の数そのものが少なく、しかもあまり空きがありません。とはいえ駐車場を確保しないことには工事が始まらないので、解体工事の進捗を確認に行ったこの日も、周辺を歩き回り、駐車場探しをしてきました。


 

話を家づくりに戻します。解体工事が無事に終わり、更地になったM様邸の敷地です。


 

工事を始める前に、敷地の四隅にお清めのお酒と塩をお供えする現場監督。最近は地鎮祭を行わないケースも増えてきました。地鎮祭を行わない時も、お清め式は簡単ではありますが、行うようにしています。


 

もう一枚。工事の無事を祈りつつペコリ。


 

お清め式が終わるといよいよ家づくりが始まります。下の写真は「遣り方」を作っている基礎工事の職人さん。遣り方は建物の基礎の配置や高さの基準となる、非常に大切なもの。測量機で慎重に高さを計測しながら組み上げていきます。


 

おまけの写真。M様との打ち合わせのひとコマ。「こういうの、できますか?」とスマホでいろんなインテリアの写真を見せてもらいながら打ち合わせが進みます。便利な時代になりました。


 

 

◎調布市・調布飛行場内の倉庫建築

調布飛行場内で共立航空撮影株式会社様の倉庫づくりを進めています。建築する建物は、3間×4間(1間は約1.818メートル)の軽量鉄骨のプレハブ2階建てです。たくさんの飛行機を間近に見ることのできる楽しい仕事です。

駐車場のアスファルトをはつり(削り)ます。この位置に倉庫を作ります。金網の向こうにたくさんの小型飛行機が見えます。


 

ショベルカーを使って、根切りを行います。根切りというのは、基礎を作るために地面を掘り下げることをいいます。


 

根切り完了の記録写真です。せっかくの機会なので、飛行機が写るように撮りました。


 

掘り下げた部分に砕石を敷き突き固めていきます。後ろの飛行機にパイロットらしき人が近付いていきます。機体後部のドアも開いています。もうすぐ離陸でしょうか?


 

砕石作業の数日後、仮枠の設置が終わったので記録写真を撮影しました。この写真も飛行機が写るように撮っています。ちなみに後ろの飛行機は、セスナ社のセスナ208キャラバンという10人乗りの単発ターボプロップエンジンのプロペラ機です。


 

基礎の配筋工事が始まりました。


 

 

◎おすすめアイテム紹介のコーナー(3)/「アップルゲートのセルロースファイバー(断熱材)」

断熱材には大きく分けて、充填断熱用のものと外断熱(外張り断熱)用のものがあり、今回紹介する「アップルゲートのセルロースファイバー」は、充填断熱用の断熱材です。

充填断熱用の断熱材には、グラスウールや発泡ウレタンフォームなど様々な種類があるのですが、すべての断熱材には長所と短所があり、どの断熱材を使うかは、どの建築会社も頭を悩ませていると思います。(※外断熱用の断熱材についてはいずれ別の機会にお話ししたいと思っています)

[グラスウール]
グラスウールは、高性能な製品とそうでない製品の性能差がとても大きい断熱材です。高性能グラスウールは、極めて高い断熱性能を持っているのですが、施工にすごく手間がかかるので、その分費用が高くなるのが難点です。さらに、隙間なくグラスウールを詰めこむのは職人の手作業になるので、職人の腕の良し悪しが断熱性能を大きく左右することになります。このことは、施工管理上の大きな不安要素です。

ちなみに現在建築中のH様邸では、断熱材に高性能グラスウールを使用しています。わずかな隙間も見逃すことなく、グラスウールを詰め込んでいくのは、なかなか骨の折れる作業です。


 

[発泡ウレタンフォーム]
吹き付けた瞬間に約100倍に発泡するウレタンフォームを利用した断熱材です。小野寺工務店が使用している「モコフォーム」もこの発泡ウレタンフォームの仲間です。発泡する際に、構造材の小さな隙間にも入り込んでいくので、手間なく隙間のない断熱層ができあがります。また断熱性能も高く、費用も手ごろです。

デメリットは、現在の技術では、発泡したウレタンフォームは、産業廃棄物として処理するしかなく、エコの観点で大きな課題があることです。(これからの技術革新により解決する可能性は十分にあります)

下の写真は、発泡ウレタンフォームによる断熱工事の様子です。発泡する際にわずかな隙間にも入り込んでいくため、隙間のない断熱層を作ることができます。(当社施工例)


 

[セルロースファイバー]
セルロースファイバーは、細かく粉砕した新聞紙(パルプ)を原料にした断熱材です。断熱材を入れるスペースにあらかじめシートを貼り、そのシートの真ん中に穴を開け、その穴から掃除機のノズルのようなもので、セルロースファイバーを吹き込んでいき、最後に穴をシールで塞いで完成です。

断熱性能が高く、しかも天然の木質繊維素材で、さらにグラスウールやウレタンフォームと違って、吸湿性があるので湿度の調整もできるという優れものです。

短所は、グラスウール同様に施工に手間がかかる分費用が高くなることと、もうひとつ大きな欠点は、一棟あたり約1.5~2トンのセルロースファイバーを使うのですが、時間が経つにつれて繊維が沈下して、壁の上の方に断熱材の隙間ができる点です。これは断熱材としてはかなり大きな問題だと思っています。

これがセルロースファイバーです。印刷工場で廃棄される新聞紙が原料です。新聞紙の原料はパルプ(木質植物繊維)なので、燃やせば(燃やさなくても)土に還るエコな天然素材です。


 

[アップルゲートのセルロースファイバー]
ようやく、今回のおすすめアイテムに辿り着きました。「アップルゲートのセルロースファイバー」は沈下するというセルロースファイバー最大の欠点を解消した断熱材です。細かく砕いた新聞紙(パルプ)を使うのは一般的なセルロースファイバーと同じですが、セルロースファイバーにとうもろこしのデンプンから作った糊と水を混ぜ、少し湿った状態にして躯体の間に吹き付けていくのです(ウォータースプレー工法といいます)。

吹き付けられたセルロースファイバーは、その場ですぐに固まるので、沈下する心配がありません。また、ウレタンフォームのように躯体の狭い隙間に入り込むため、隙間のない断熱施工が可能です。文字だけではイメージがつかみづらいと思いますので、ここからは写真をいくつか紹介します。

下の写真は吹き付け施工の様子です。ウレタンフォームと同じように躯体に吹き付けていきます。それほど難しくない作業なので、品質管理という点でもメリットの大きい断熱材です。


 

はみ出したセルロースファイバーは専用の道具で削ぎ落としていきます。


 

躯体の隅々まで充填されたアップルゲートのセルロースファイバー。断熱性能はウレタンフォームと同じぐらい高く、施工の手順もよく似ています。ウレタンフォームにはない、吸湿性と吸音(防音)性があるので、静寂を感じることのできる住空間が実現できます。(当社施工例)



断熱材については本一冊ぐらいは書けると思うのですが、今回はこのあたりで止めておくことにします。断熱材についてもっと詳しく知りたいと思われた方は、ぜひ事務所にお越しください。各々の断熱材の特徴について、わかりやすくご説明いたします。(事前にお電話いただけると幸いです)

 

(2021年3月号に続く)

 

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