変形敷地に建つ五角形の家が完成しました!と高性能グラスウールを使用したH様邸断熱工事のお話/2021年1月号
五角形のI様邸が完成しましたので、今回はその完成写真を中心にレポートします。また、小平市H様邸の断熱工事の様子も詳しく紹介します。
最初に目次です。
1.調布市・I様邸(変形敷地に建つ五角形の家)
2.小平市・H様邸(国産木製トリプルサッシと天然リノリウムの床の家)
3.おすすめアイテム紹介のコーナー(2)/外付けブラインド「ヴァレーマ」
◎調布市・I様邸(変形敷地に建つ五角形の家)
では早速、完成したI様邸の紹介を始めたいと思います。I様邸は、直角三角形に近い形状の台形敷地に建つ五角形の家です。
まずはI様邸の外観です。モスグリーンのガルバリウム鋼板と天然外壁材のウエスタンレッドシダーを組み合わせています。
正面からの写真です。左側のシルバーの引き戸が玄関ドア。右側の扉は、アウトドア用品などを入れるための外部収納です。
I様邸のすぐ隣は、道路拡張用の空き地です。近い将来、新しい道路ができあがったタイミングで、ちゃんとした外構工事を行う予定なので、現状のエントランスは仮の姿です。
それでは家の中を見ていきましょう。まずは玄関ホールです。シューズボックスと衣類用のハンガーラックを造作しています。縦長のすべり出し窓の手前に飾り棚を設け、その下に傘かけを作りました。
玄関から家の中を見た写真です。階段をあがると2階リビングです。左側の引き戸の向こうは洗面室と浴室。Rの下がり壁の向こうは二手に分かれていて、右側が主寝室。左側が子供部屋です。
1階の主寝室です。I様邸の床は1階も2階もすべて無垢のロッジポールパインを使っています。右側のアクセントウォールは、I様による施工です。紙クロスの施工まで小野寺工務店が行い、その上からの塗装をI様のご主人が行いました。
1階の子供部屋です。約4.5帖の五角形のお部屋になっています。
1階の洗面室と浴室です。洗面台はI様のご主人による設計です。金色のタオル掛け、蛇口、背面のタイル、洗面ボウルなど、すべてご主人によるこだわりのセレクトです。洗面ボウルの右にある、スタバやドトール風のダストボックスもI様のアイデアです。
ここからは2階の紹介です。まずは2階リビングです。視線が縦に抜けることで空間の広がりを感じることのできる勾配天井を採用しています。
別角度からのリビングです。写真左側のOSB合板の向こう側がキッチンです。正面の大きな窓の向こう側にバルコニーがあります。
OSB合板ですが、家族の写真やカレンダーなどを、キズ跡を気にせずに画びょうでバンバン貼り付けることができるので便利です。アクセントウォール感覚で採用されるお客様が増えてきました。
キャットタワーは以前のお住まいで使用されていたものを移設しています。その際、突っ張り棒形式だったものを、大工工事で固定しました。「キャットタワーを上って、そのまま梁の上を歩くといいな」と打ち合わせ時にI様とお話ししていたのですが、お引渡し後に「ちゃんと梁の上を歩いています♪」というご報告をいただきました。
これがそのキャットウォークを兼ねた梁です。
もう一枚、リビングの写真です。ベランダを背に階段方向を撮っています。階段の腰壁には本棚を造作しました。
続いて、I様邸のキッチンです。I様邸のキッチンは、一般的なシステムキッチン(TOTOのミッテ)にニッタイ工業のタイルを組み合わせています。ちなみに窓際の小さなテーブルは、弊社が書類作成用に撮影当日に持ち込んだものです。実際はこの位置に4人掛けのテーブルが入ります。
もう一枚、キッチンの写真。奥が冷蔵庫のスペースになっています。
キッチンの横には洗濯機とガス衣類乾燥機「乾太くん」を配置。2階のベランダに干すことを考えて、1階の洗面室ではなく、キッチン横に洗濯機スペースを設けました。
2階南側のベランダです。蛇口を1つ付けました。
続いて、I様邸と冬枯れの桜の木の写真です。南側の桜の木を借景することは、I様邸の設計上、大きなポイントでした。ちなみにI様邸の南側は専門用語で「赤道」と呼ぶ、国有の認定外道路です。桜の木はその赤道に生えています。
最後にお引き渡しの際に、I様ご夫妻からいただいたプレゼントを紹介しておきます。I様、こちらこそよろしくお願いいたします!
I様邸の完成写真は、「施工事例集」でもたくさん紹介しています。ぜひそちらもご覧ください。。
◎小平市・H様邸(国産木製トリプルサッシと天然リノリウムの床の家)
前回、上棟の様子をレポートしたH様邸。今回は超高性能な木製トリプルサッシの取り付け工事と、その後の断熱工事についてレポートします。
下の写真は、国産木製トリプルサッシ「スマートウィン」が工場から建築現場に到着した時のものです。「スマートウィン」の性能については、昨年のスタッフブログや前回の月刊小野寺工務店に詳しく書きましたので、今回は省きます。一言でいうと国産最高級の断熱性能を持つYKK APの「APW430」のそのまた上をいくハイパー断熱性能をもつ木製トリプルサッシです。
半端ない重量なので、職人&大工総がかりで持ち上げます。
スマートウィン設置完了!この写真は室内側です。(書かなくてもわかりますネ)
同じ窓を家の外側から撮りました。従来の木製サッシは紫外線などから木部を守るため定期的なメンテナンスや塗装が必要でしたが、スマートウィンはアルミ製のプレートでサッシ外側の木部をカバーしているので、そうしたメンテナンスが不要です。見た目より中身(断熱性能)重視の木製サッシなのです。
スマートウィンの屋外側の窓枠にはあらかじめ断熱材が組み込まれています。断熱材一体型の窓枠、これも超高性能の理由の1つです。
H様邸は、内外ダブル断熱を採用していて、内側の断熱材が高性能グラスウール、外側がフェノバボードです。そして下の写真のように、スマートウィンの窓枠の断熱材とフェノバボードの表面が平らになるように施工します。
わずかなすき間にも断熱材をキッチリつめ込みます。
最後に窓枠まで巻き込むように透湿・防水シートで被(おお)います。これで、断熱材の切れ目のない外断熱の完成です。
続いて、室内側の断熱工事についてレポートしていきます。H様邸の内断熱には、断熱材として「イソベール・コンフォート」という高性能なグラスウールを使用します。
袋から出したイソベール・コンフォート。モッコモコのフッカフカです。
モッコモコでフッカフカのイソベール・コンフォートを柱の間にギュウギュウ詰めに押し込んでいきます。
こちらは断熱工事専門の職人さん。わずかな隙間も見逃すことなく、専用のへらを駆使して、キッチリみっちりと断熱材をつめ込んでいきます。
天井には吹き込み用のグラスウールを入れていきます。シートにセルロースファイバーの緑の文字が見えますが、セルロースファイバーではなくグラスウールを入れています。
壁の中と天井へのグラウスールの充填作業が完了しました!
最後にタイベックスマートという透湿気密シートを充填したグラスウールの上から施工して、室内の断熱工事完了です!
◎おすすめアイテム紹介のコーナー(2)/外付けブラインド「ヴァレーマ」
今回ご紹介するのは外付けブラインド「ヴァレーマ」。まずは当社の施工例を見てください。
武蔵野市のS様邸の2階南側の窓に設置したヴァレーマ。一般的なブラインドと同じように、スラット(羽根)を上げたり下げたり、スラットの角度を変えて光量を調節できます。(※武蔵野市S様邸の施工事例はこちら)
室内から見たヴァレーマ。太陽光を完全に遮断した状態。
太陽光を半分取り込んだ状態。
スラットを完全に上げて格納した状態。
外付けブラインドのヴァレーマは文字通り建物の外側に取り付けるブラインドです。ではなぜ、家の中ではなく家の外側に取り付けるのか。それは、太陽からの輻射熱(ふくしゃねつ)を家の外側で遮断するためです。
中学3年の理科の授業で習うのですが、熱の伝わり方には、伝導、輻射(放射)、対流の3種類があります。伝導はモノからモノへ直接熱が伝わる現象、輻射(放射)は熱源から発生する赤外線によって遠くのものが温められる現象、対流は空気や水などの物質が循環することで熱が広がる現象です。
建物の南面や西面に大きな窓を設置すると、春から夏にかけて、強烈な日差しが照り付け、その日差しによる輻射熱によって、室内が激しく熱せられていきます。その結果、エアコンの効きの悪い、省エネ住宅とはかけ離れた、夏の夜寝苦しい家になってしまいます。この輻射熱は、トリプルサッシなど窓の断熱性能をいくら上げても、ほとんど関係ありません。窓の断熱性能は伝導による熱の移動を遮断するためのものだからです。
では、室内のカーテンやブラインドはどうかというと、これらは日差しを遮断する代わりに、輻射熱をもろに受け止め、結果、家の中を温める熱源となってしまいますので、実際のところ全熱量の1/3程度しか遮断できません。
こういった輻射熱の問題を解決するのが、ヴァレーマのような外付けブラインドです。ヴァレーマは、建物の外側で太陽からの輻射熱を約80%遮断します。よく高性能住宅の例えとして、「冬暖かく夏涼しい家」と言いますが、冬暖かい家は断熱性能を上げることで実現しますが、夏涼しいの方は、断熱性能だけでは限界があり、輻射熱対策が必要なのです。
外付けブラインドは、今はまだそれほど一般的ではないですが、リクシルなど、国産メーカーのラインナップも揃ってきています。もともと日本には古くから、「よしず」や「すだれ」など、輻射熱を効果的に遮断する道具というか生活様式があります。外付けブラインドも、電動で格納したり、自由自在に光量を調節したりできる、進化した「よしず」や「すだれ」という認識が広がると、いっきに普及が進むかもしれません。
※この画像はヴァレーマのHPから拝借しました。
(2021年2月号に続く)