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月刊小野寺工務店【Monthly Onodera】

ウォータースプレー式セルロース断熱と賃貸併用二世帯住宅の大改修工事のお話/2018年10月号

Date:2018年10月17日 |

今月より「月刊小野寺工務店」というタイトルのブログを掲載することにいたしました。
現在進行中の新築工事、リフォーム工事の現場レポートを中心に、
小野寺工務店のありのままをお伝えしていきたいと思います。

では早速、今月の工事レポートを始めます。

◎杉並区・S様邸(インナーガレージのある3階建ての家)

S様邸は約20坪の敷地に建てるインナーガレージのある家づくりです。
今年の4月に着工し、まもなく完成の予定です。

オークの無垢材をヘリンボーン柄に貼るフローリングやアイアンの階段など、
みどころ満載の家ですが、内装の仕上がりは来月以降に紹介するとして、
今回は8月~9月に行った断熱工事の様子をレポートしたいと思います。

まずは、建物内部の断熱工事から。
S様邸の内部断熱はアップルゲート社のセルロースファイバー断熱を採用しています。
セルロースファイバーというのは新聞紙を原材料とする木質繊維で、
見た目はこんな感じです。


このセルロースファイバーを壁の中にすき間なく充填していくのがセルロースファイバー断熱です。
下の写真はS様邸の主寝室になる部屋の写真です。
壁の内側にセルロースファイバーが隙間なく詰まっています。

セルロースファイバーを使う断熱工事は、
(1)壁に専用のシートを貼り、
(2)貼ったシートに直径8センチぐらいの穴を開けて、
(3)その穴にホースを突っ込んでセルロースファイバーを吹き込んでいく
この方法が一般的な方法です。

こんな感じです(国内の写真だと差し障りがあるかもしれないので、海外の写真です)↓

しかしこの方法だと、
隙間なくきちんと断熱材が入っているかどうかを、後からチェックすることができないのと、
長い年月が経つ間に、どうしてもセルロースファイバーが沈下してしまって
上の方にすき間が空いてしまうという難点があります。

そんな理由から、小野寺工務店ではウォータースプレー方式を採用しています。
水とトウモロコシから作ったでんぷん糊とセルロースファイバーを混ぜ合わせ、
それを専用のウォータースプレーで壁に吹き付けていくやり方です。

こんな感じです↓(すいません!S様邸で写真を撮らなかったので、こちらも海外の写真を拝借してます)

水が蒸発すると、セルロースファイバーが固まり、すき間のない断熱層ができあがります。
接着剤もトウモロコシから作るでんぷん糊なので、シックハウスなどの心配も無用です。

続いて、S様邸の3階部分の写真を見てください。
背番号36が気になりますが、無視してください。

S様邸の屋根の断熱材はセルロースファイバーではなく、
ネオマフォームという発泡系断熱材を使用しています。
理由は、少しでも天井を高くしたいからです。

S様邸は住宅密集地にありがちなケースですが、東西南北のあらゆる方向からの
斜線制限の影響で、3階部分の天井が斜めに削り取られてしまいます。

そんな中、少しでも天井を高くするためのアイデアが、ネオマフォームの採用です。
ネオマフォームはセルロースファイバーと比較して、熱伝導率が半分なので、
厚みも半分で済みます。

内部断熱の話だけで、長くなってしまいました(汗)
少し急ぎ足で、外側の断熱(外断熱)の話を進めます。

下の写真を見てください。白い板がたくさん積まれています。
これはEPSボードという外張り断熱材です。

小野寺工務店では内断熱と外断熱のダブル断熱を採用して、極めて高い断熱性能の住まいを実現しています。
内断熱は、セルロースファイバーやモコフォーム(発泡ウレタンフォーム)など、
その住宅にあわせて最適な断熱材を使いますが、外断熱の素材はこのEPSボードが基本です。
EPSボードは南極の昭和基地で使われているように、非常に強力な断熱性能を持っています。

このEPSボードを下の写真のように、家の外側に順に貼りつけていきます。
壁の下地が水色になっているのは、ウェザーシールという塗布防水を施工しているからです。
(塗布防水については、別の機会に詳しく説明します)

もう少し工事が進むとこのようになります。

さらに工事が進むとこうなります。
敷き詰めたEPSボードの上から、外壁の下塗り作業が始まっています。

今回は断熱工事の話だけになりましたが、次回はS様邸のステキな内観を紹介したいと思います。

◎調布市・N様邸(賃貸併用住宅を二世帯住宅に大規模リフォーム)

N様邸は、築29年の大きな賃貸(アパート)併用住宅です。そのアパート部分はそのままにして、
居住部分を二世帯住宅に変更しようという大規模リフォームを進めています。

ちなみに最初にN様からご相談をいただいたのは、2015年の2月。
3年がかりの東京オリンピックに匹敵する(小野寺工務店的には)スペシャルプロジェクトです!

二世帯住宅には、玄関だけ共有型や、キッチンは別だけどバスルームは共有型など、
いろんなバリエーションがありますが、N様邸は玄関も住宅設備もすべて別々の完全分離型の二世帯住宅です。
プライバシーがしっかり確保できるほか、
生活時間帯がまったく違っても生活音などに気を遣う必要がないというメリットがあります。
でも費用的には、すべての住宅設備が2つずつ必要なので、どうしても割高になってしまいます。

では、N様邸の工事の様子を紹介していきましょう!

最初に紹介するのは、工事前のN様邸です。建物の左部分が賃貸アパートで、右側が居住部分です。
今回の工事で、居住部分を二世帯住宅に変更します。

下の2枚の写真は、N様邸の2階とロフト部分の写真です。
構造材をほとんど入れ替える大修繕を行っています。
今回の工事で、屋根裏には約20帖の広大なロフトを作る計画です。


下の写真は、当社の大工が野縁(のぶち)の位置を決めているところです。
野縁というのは天井板を取り付けるための下地材です。
200ミリの断熱材が入るので、その分のスペースをあけて、野縁を取り付ける必要があります。

その後、断熱工事まで完了したN様邸の屋根裏です。
モコフォームという発泡ウレタンフォームの断熱材がすき間なく入りました。

◎武蔵野市・S様邸(2×10Mの専用通路の先につくる、アイデア満載の家)

S様邸の家づくりの大きな特徴は、2メートル×10メートルの細長い専用通路の先の敷地に家を建てること。
俗にいう旗竿敷地での家づくりです。

下の写真がS様邸の入口、2×10Mの専用通路です。
今年の7月に撮った写真なので、奥に解体前の家が写っています。
クレーン車やユンボ(ショベルカー)が入れない敷地での家づくり。頑張りたいと思います。

では早速ですが、9月に行ったS様邸の基礎工事の様子をレポートしていきます。
ちなみに小野寺工務店の基礎工事は、見る人が見れば驚く、特別な基礎工事です。

下の写真は、基礎の下に捨てコン(捨てコンクリート)を施工した時の写真です。
この後、捨てコンの上に建物の基礎を立ちあげていきます。
まわりにある白いボードは、パフォームガードという基礎下断熱材です。
小野寺工務店では、基礎をまるごとすっぽりと覆う基礎下断熱を採用しています。

型枠工の職人さんが、基礎の外周の型枠を立ちあげているところです。

型枠を立ちあげた後、底面と側面に断熱材(パフォームガード)を配置し、
その上から基礎の配筋を組んでいきます。下の2枚の写真がその様子です。


日本の戸建て住宅のほとんどが床下で断熱します。
床下で断熱すると建物の基礎は家の外ということになります。
基礎は巨大なコンクリートの塊(かたまり)で、
しかもコンクリートというのは、熱さも冷たさも蓄熱する力がすごいですから、
結果として冬は床下からシンシンと冷やされる家、夏は床下からじんわり熱せられる家になってしまいます。

それを避けるのが、基礎下断熱です。
基礎の下で断熱すると、建物の基礎は家の中になります。
地面からの冷たさ、熱さの影響を受けなくなるので、夏も冬も快適な住まいができあがります。

工事レポートに戻ります。
下の写真は基礎にコンクリートを打設する様子です。
端から順にコンクリートを流し込んでいきます。

流し込んだコンクリートをすぐに平らにならしていきます。手慣れた作業で見ていて気持ちいいです。

底面が終わったら、立ち上がり部分の型枠を設置していきます。

立ち上がり部分にコンクリートを流し入れていきます。

下の写真を見てください。
外側を覆う断熱材と基礎が一体化されているのがよくわかると思います。

基礎下断熱を採用している工務店はまだまだ少数派なので、
こういう基礎を目にする機会はほとんどないと思います。
(とはいえ、メリットの多い方法なので、徐々に増えてきています)

基礎の外側の断熱材に、第一回目の塗装を施します。塗装は最終的に3回行います。

基礎工事が完了しました!パチパチパチ

基礎完成から1週間後に上棟も行いました。下の写真は上棟に必要な構造材を運ぶ込む大工さんです。
最近はクレーンで搬入することが多いですが、S様邸の敷地はクレーンが入れないので、人力で搬入します。
若い人は大変だー、と嘆きますが、昔はこれが普通でした。

快晴の日に行う棟上げ(上棟)は気持ちのいいものです。

◎小金井市・T様邸(床下冷暖房システム採用の家)

床下冷暖房システム採用のT様邸も、順調に工事が進んでいます。

下の写真は断熱工事完了後のT様邸の内部写真です。
壁面にも天井にもモコフォーム(発泡ウレタンフォーム)がたっぷり充填されています。
せっかくの床下冷暖房システムも、家そのものの気密性能、断熱性能が低いと無意味なので、
慎重に丁寧に断熱工事を行います。

続いて、床下冷暖房システムの工事中の写真です。エアコン本体はまだ設置していません。
巨大なティッシュボックスのような箱の上に床下用エアコンを設置すると、
そこからの暖気・冷気が銀色のダクトを通って、床下空間の隅々にまで送り込まれる仕組みです。

T様邸では「エアボレー」という床下冷暖房システムを使います。
1台のエアコンで1階のフロア全体を暖めたり、冷やしたりできます。
エアコンの温風や冷風が苦手な方には特にオススメです。

T様邸のもうひとつの特徴は、家の中にあえて段差をつくり、
段差によって空間をゆるやかに仕切る設計手法を取っていることです。
言うのは簡単ですが、どのように構造材を組み合わせるか?を考えるのも、
実際に建築現場で施工するのも大変です。

下の写真はちょうどその段差部分の構造を撮影したものです。
苦労の一端だけでもご理解いただけるとうれしく思います。

おまけ。
T様邸の建築模型です。左下の部屋の床が約30センチ低くなります。

外観はこんな感じです。

ここまでご紹介した4邸以外にも、調布市のK様邸、三鷹市のW様邸の工事が進んでいます。
また地下室と薪ストーブのある住宅の設計も進行中です。
あまり長くなると読むのも大変だと思いますので、それらは来月以降に少しずつ紹介していきたいと思います。

(来月号に続く)

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