汗ばむ初夏の夕暮れ時に、落語を楽しんで参りました。
柳家小三治 独演会 です。
ご贔屓の小三治師匠のお噺が二題続けて聴けるこの贅沢さ(^_^)
TVのお笑い番組も大好きですが、お金を払って聴きに行くのは落語だけです。
この日の演目は「長短」
そして小三治師匠の十八番「粗忽長屋」
~ 粗忽長屋 そこつながや ~
浅草の観音様に向かう八五郎、
なぜか浅草雷門の広小路は黒山の人だかり、どうやら行き倒れが出たらしい。
人をかきわけ死体を見れば、同じ長屋に住む熊五郎ではありませんか!
慌てて長屋に駆け戻り、寝ている熊五郎を叩き起こし
「のんきに寝てる奴があるか!お前は昨晩死んじまったんだぞ」と教えます。
たらふく酒を呑んで昨夜の記憶がない熊五郎、
言われてみればそんな気もする。
八五郎に連れられて死んだ自分とご対面した熊五郎は・・・
粗忽とは、あわてん坊の意味。
「粗忽長屋」という一言で、あわて者たちの住む長屋の風景が浮かびます。
古典落語の中には粗忽長屋のように、笑っているうちに不可思議な世界に
引き込まれるような、ちょっと不気味なお噺が数多くあります。
「黄金餅」
ケチが高じて黄金を呑み込んたまま死んでしまった願人坊主、
それを見ていた隣りの金兵衛、お腹に残った黄金欲しさに・・・
「もう半分」
呑み屋夫婦に金をだまし取られた爺さんが、生まれ変わったその先は・・・
「死神」
長患いをしている者には死神が足元か枕元についている。
足元にいる者はどうにかなるが枕元の時はもうダメだ。
死神が見えるようになった男はニセ医者となり・・・
「後生鰻」
信心深い御隠居さん、何より殺生が大嫌い。
蒲焼にされる寸前のウナギを鰻屋のオヤジから買い取り、
川へボチャーンと帰しては 「あぁ、今日も良い功徳をした」
御隠居さんが最後にした功徳とは・・・
落語にモラルを求めるのはそれこそ野暮というもの。
人間の残酷さや愚かさをこんな風に笑い飛ばしながら、
江戸時代の粗忽者たちもゾゾっとするお噺で涼をとったのかも
しれません(^_^)
名人小三治さんに手を引かれ、
ちょっとトリップしてしまった宵でございました m(__)m
m,nami
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